TOP グルメ きらきら輝く小豆にうっとり。ならまちの行列ができる名店で味わう【ぜんざい】

きらきら輝く小豆にうっとり。ならまちの行列ができる名店で味わう【ぜんざい】

2023.12.20

本日の一品 > 萬御菓子誂處 樫舎「樫舎のおぜんざい」(奈良・ならまち)

職人技がきらりと光る“あまいもん”が大好きというエディターの吉村セイラさん。関西エリアの中でも注目しているのが、奈良だそう。ゆったりとした時間の流れがそうさせるのか、手仕事を感じさせる、じんわりおいしいあまいもんが多いと言います。そんな吉村さんが推す和菓子の名店を目指して、風情あるならまちへ。

【水曜15時のあまいもん】とは?
関西の食に精通するライター、エディター、フォトグラファーなど“取材のプロ”たちが、ほんとは教えたくない関西の「推しおやつ」を、和洋問わずレコメンド。確かな目利きで選んだあまいもんは、どれもわざわざ足を運んで大正解の、ハズレなしのおいしさです。

「丹波大納言小豆がぷっくり、きらきら輝くぜんざい」(吉村さん)

萬御菓子誂處 樫舎の「樫舎のおぜんざい」

季節限定、数量限定で、お茶、小種(煎餅)つきで、1,430円。ぜんざいは、奈良漆器の、高台の高い合鹿椀(ごうろくわん)で提供されます。イートインのみ。

「最高級の素材を作る生産者と、そのポテンシャルを最大限に引き出すことに心を砕く店主の信頼関係の賜物。一粒一粒ぷっくりと炊かれた丹波大納言小豆はきらきらと輝き、口に含むとほくほくとして、甘さと旨さが広がります。風味のいい粟、きび、よもぎのお餅が小豆とからんで、しみじみおいしいです」(吉村さん)

「和菓子職人の仕事は、吸水、加熱、加糖がほぼすべて。おいしい和菓子を作るには、一流の生産者が作った最高の素材を選び、手を加えすぎず、その良さを最大限に引き出すことです」。そう話す店主、喜多誠一郎さんの志は、どの菓子にも感じられます。

ぜんざいもしかり。丹波産大納言小豆を、腹が割れないよう、なるべく触らず、ゆっくりと炊き、純度の高い氷砂糖の蜜に一晩つけて、ふっくらとみずみずしく、後味よく仕上げています。近江羽二重もち粉に、山形産のもち粟と赤きび、奈良産のよもぎで風味をつけた3種の餅入り。

編集部の「これも食べたい!」

お抹茶と季節の生菓子

季節の生菓子に抹茶と干菓子つきで、1,100円。

「目の前でお菓子作りを拝見しながら伺う店主の話が面白く、“カウンター和菓子”の魅力にすっかり目覚めました」(吉村さん)その言葉に背中を押され、古い長屋を改装したという店内のカウンターに座り、取材用のお抹茶と生菓子をオーダー。店主のお話を聞きながら、作業を眺めていると、あっという間に生菓子がやってきました。

時季によって替わる生菓子はテイクアウトも。葛焼きは、こちらの代表銘菓です。

この日選んだのは、百合根きんとん。餡は加えず、名産地として知られる北海道真狩村の百合根のみで作った真っ白なきんとんは、ふんわりと軽やか。黒文字を入れると、中から紅に染めた備中白小豆を使った紅餡がのぞく趣向にも心が躍ります。なお、目の前で作り立てをカウンター越しに楽しめるのは、「和菓子のコース(要予約)」。きっと、思い出に残る体験となるはずですよ。

教えてくれた人吉村セイラ/Seira Yoshimura

エディター&ライター。「ELLE ONLINE」「madameFIGARO.jp」「SPUR.JP」など、 ファッション誌のウェブ編集者を経て、フリーランスに。東京在住ながら、近年は関西の仕事が多く、お店開拓にはげむ日々。”あまいもん”はもとより、パン、ワインにも目がない。

DATA

萬御菓子誂處 樫舎(よろずおんかしあつらえどころ かしや)
奈良県奈良市中院町22-3
TEL:0742-22-8899
営業時間:9:00~18:00(イートイン 11:00〜16:30 LO)
定休日:無
https://www.kasiya.jp

\from Editor/
道具のこと、素材のこと、器のこと……。きんとん地を細かい馬毛の濾し器に通しながら、繰り出される喜多さんの話は、興味深く、そして何より楽しい。和菓子初心者でも、いえ、初心者にこそ、行ってほしいと思える店でした。銘菓「小男鹿(さおしか)」で知られる徳島の老舗和菓子店「冨士屋」が実家だという喜多さんの、話の合間にのぞく奈良愛も印象的です。
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