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暮らしに溶け込んだアートが魅力な養父市大屋町を散策

1月28日、養父市大屋町を訪れました。

養父市大屋町は、旧大屋町の時代から木彫や絵画、書、陶芸などの芸術活動が盛んな地域です。
1994年から全国公募展「木彫フォークアートおおや」、1996年から地元の芸術家による展覧会が開催されており、大屋に移住する芸術家も多いそうです。
今回は、暮らしに溶け込んだアートが魅力の養父市大屋町を散策したいと思います。

長年親しまれてきた木彫作品

養父市大屋町の玄関口にあたる宮垣地区の三叉路付近で、おおやへの来訪を歓迎する3体の招き猫がいたことにお気づきの方も多いと思います。
2010年からの長きにわたり、おおやのシンボルとして親しまれてきた作品も老朽化が進んできたため、2020年末で交替となりました。

お披露目待ち

そこでNPO法人おおやアート村と大屋木彫同好会が新たな「木彫の里おおや」のシンボルとなる木彫モニュメントを共同で制作しました。
前回通りかかった時は、作品にシートが被され、お披露目待ちの状態でした。

新たな木彫モニュメントの登場

新たな木彫モニュメントは、2020年の年末に披露されました。
高さ2.8mで、手招きする3匹の猫やフクロウに加え、一円電車、天滝、樽見の大桜など養父市の名所が彫り込まれています。
なお、作品の命名は、1月16日に予定されていましたが、コロナの影響で延期されたそうです。

 

「アートで町を元気に」その1

NPO法人おおやアート村は、「アートで町を元気に」をコンセプトに活動しています。
大屋木彫同好会と一緒に、まちのあちこちでアートを見ることができる「アウトサイドギャラリー」として、大屋町内に木彫アートを設置してきました。
その第1弾が2018年に制作した『12種の干支を掘り込んだレリーフ』です。
養父市大屋町内には全但バスの停留所が57カ所ありますが、そのうち12カ所に展示されています。
個性的なバスの停留所とともにお楽しみください。

子ね(ボランピアおおやバス停)

丑うし(中村バス停)

寅とら(大杉バス停)

卯う(栗の下バス停)

辰たつ(幼児センター前バス停・上り)

巳み(幼児センター前バス停・下り)

午うま(北星バス停)

未ひつじ(上蔵垣バス停)

申さる(瓜原バス停)

酉とり(大屋バス停)

戌いぬ(宮垣橋本バス停)

亥い(門野バス停)

木彫巡る干支マップ

 

 

「アートで町を元気に」その2

第2弾は2019年に制作され、養父市大屋町明延にある「あけのべ憩いの家」の前に展示されています。

『宝まねきと一円電車』

鉱夫の姿をした招き猫と、明延と神子畑を結ぶ明神電車で活躍した「一円電車」をモチーフにした木彫作品です。
そして第3弾が冒頭で紹介しました新たな木彫モニュメントです。

 

「フォークアート」と「おおや」とのつながり

「フォークアート」と「おおや」には、どのようなつながりがあるのでしょうか?
フォークアートとは、人びとの生活に密着し、その喜怒哀楽を表現する芸術のことだそうです。
兵庫県の北部にある養父市大屋町は周囲を山に囲まれており、身近な木を素材として生活に溶け込む木彫アートを作り出すための環境が揃っていました。
『木彫フォークアートおおや』展は、新しいアートのジャンルである木彫芸術「フォークアート」にスポットを当てた全国初の公募展として1994年に誕生し、二十数年の時を重ねて、日本で注目されるユニークな美術展に成長しました。

 

活動拠点その1 おおやアート村 BIG LABO(養父市大屋町加保)

大屋には、木彫、陶芸、絵画、書など様々な芸術家が移住しています。
そのわけは、地域で芸術活動がしやすいようにサポートする拠点があることと深い関係があるそうです。
その代表的な施設が、おおやアート村 BIG LABO(ビッグラボ)です。
おおやアート村 BIG LABO(ビッグラボ)は、アートとくらしをつなぐ拠点として2012年に誕生しました。

アトリエ棟入口の作品

廃校になった県立八鹿高校大屋校を再生させたもので、創作棟・アトリエ棟・展示場の3棟があり、ワークショップや創作の場として活用されています。

 

活動拠点その2 養父市立木彫展示館(養父市大屋町大杉)

養父市立木彫展示館は、明治時代中期に建てられた診療所や古民家を再生させたもので、『全国公募展木彫フォークアート・おおや』の入賞作品を展示しており、木彫フォークアートの魅力を感じることができる施設です。
また、隣には創作棟があり、木彫等の創作活動の場として活用されています。

木彫展示館入口の作品

 

 

活動拠点その3 分散ギャラリー養蚕農家(養父市大屋町大杉)※現在休業中

分散ギャラリー養蚕農家は、築150年以上の三階建て養蚕住宅を改修したもので、地元作家の作品を鑑賞・購入できる場所になっています。

大屋で生まれた「うちげぇのアート」や「木彫フォークアート」のホームギャラリーで地元作家の発信の場でもあります。

 

そのほかにも魅力的な場所が・・・

養父市大屋町加保にある「あゆ公園」には、蛇紋岩で作られた動物たちが集まっています。

蛇紋岩で作られた動物たち

これは野外美術館として、大屋で取れた蛇紋岩を使い、地元の彫刻家が制作したものです。
昔、蛇紋岩は温石(おんじゃく)と呼ばれ、大屋谷で採れる温石は江戸時代からの但馬の名産品だったそうです。

 

散策を終えて

散策して見ると、まちのあちこちにフォークアートが散りばめられ、芸術のまち・大屋を体験することができました。
人びとの生活に密着し、その喜怒哀楽を表現する芸術を身近に触れることのできるまちです。

 

番外編 「フォークアートと猫」そのわけは・・・

大屋を訪ねてみると、猫をモチーフにしたフォークアートの作品が多いと感じました。
そのわけを考えてみると・・・
かつて大屋は養蚕業で栄えた町でした。
但馬に養蚕業を普及させた先駆者である上垣守国は大屋の出身です。
養蚕農家は、苦労して育てた蚕(かいこ)をネズミに食べられてしまう被害に悩まされ、猫はネズミの天敵で駆除してくれることから、招き猫を養蚕業の縁起物とする地域も多いそうです。
そう考えると、大屋に猫の作品が多いのも分かる気がしますが、真相は定かではありません。

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