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幸せを運ぶ鳥に出会える田んぼのみち・コウノトリの郷を歩く

たじま途中下車の旅~コウノトリの郷駅編~

兵庫県豊岡市の三江(みえ)地域は、のどかな田んぼの広がる地域で、コウノトリの野生復帰を実現する拠点施設、兵庫県立コウノトリの郷公園がある地域でもあります。

三江地域にはコウノトリにまつわる場所も多くあり、今回のスタート地点である京都丹後鉄道の駅名も「コウノトリの郷」という名前の駅です。それでは、自然の変化が楽しめる田んぼの風景とコウノトリに出会う旅に出発しましょう。

①コウノトリの郷駅

コウノトリの郷駅は、1929年(昭和4)に国鉄・峰豊線の豊岡-久美浜間開業により「但馬三江駅」として設置されました。
1987年(昭和62)の国鉄の分割民営化によりJR西日本の駅となりますが、1990年(平成2)、JRから移管された第3セクターの株式会社の経営となり北近畿タンゴ鉄道という名称に代わります。

2015年(平成27)よりWILLER TRAINS㈱に鉄道運行が移管され、京都丹後鉄道(略称は丹鉄)宮豊線となり、駅名も「コウノトリの郷駅」に改称されました。

駅には、コウノトリ支援自動販売機が設置されていて、売上金の一部がコウノトリ野生復帰事業に寄付されているとのことです。

コウノトリの郷駅舎

駅舎は、1930年(昭和5)に竣工した京都丹後鉄道の宮豊線沿線に唯一の残っている旧国鉄時代の駅舎です。
老朽化により、2010年に改修工事が行われましたが、以前の駅舎の雰囲気を残す味わい深い外観で、大きな木に抱かれるように建っています。

駅舎カフェぽっぽや

駅舎は、地元地域のグループ「コウノトリの郷駅応援団」 によって施設管理され、駅舎の一部を改装して2010年2月から「ぽっぽや」として蕎麦屋の営業を開始。
2020年11月より「駅舎カフェ ぽっぽや」にリニューアルオープンされました。

コーヒーは、丹後鉄道を走る観光列車内でも出されている丹鉄珈琲のこだわり豆で淹れていただけます。このお店でしか味わうことのできない「コウノトリの郷」というオリジナルブレンドもありますよ。
また、但馬では初のコーヒー豆を挽く体験もできるとのことです。

右折ポイント

コウノトリの郷駅から北向きに進んで最初の十字路を右折します。

右手に広がる田んぼを眺めながらまっすぐ道を歩いていきます。

インターアクト米とは?

田んぼを眺めていると「インターアクト米 圃場」という看板がありました。
ここは、豊岡市にある豊岡総合高校のインターアクト部の生徒が地域と一緒になって育てているお米だそうです。
アイガモ農法と呼ばれるアイガモを放鳥して農薬を使わずに稲を育てる農法で作られています。

②地固め地蔵

田んぼを見ながら道を進んでいくと道端にお地蔵さんがあります。
これは「地固め地蔵」と呼ばれる但馬の六十六か所にある地蔵尊のうちのひとつで、第六十一番目のものです。
水害が多い地域であったため、ぬかるんだ地面を固める「地固め」の願いが込められているそうです。

地下道を通って…

地固め地蔵の先の交差点を左折して歩道を歩いていくと、道路の地下を通れるようになっているのでそちらに進みます。

③久々比神社

地下道を超えると、朱色の欄干が特徴的な橋がかかっています。
そこを渡ると次の目的地である久々比(くくひ)神社に到着します。

久々比神社は、「くくひ」が住んでいたところに建てられたという言い伝えが残されています。
江戸時代の書物に「鸛」という文字に対して「コウノトリ」「クグヒ」という振り仮名がつけられていることから、「くくひ」はコウノトリのことだと言われています。

コウノトリは、幸せを運んでくる鳥、子宝を運んでくる鳥というイメージもあり、全国から多くの人々が参拝に訪れています。神社の境内には、たくさんの絵馬がかけられいます。

久々比神社の本殿は、1507年(永正4)に再建したものとされ、国の重要文化財に指定されています。
本殿の柱上部などの精巧な彫刻に目を奪われます。

久々比神社のお守りがあるカフェ

久々比神社のお守りや絵馬は、神社近くのカフェ・アビアントットで購入することができます。
神社のそばを通る国道178号線沿いにあり、コウノトリの看板が目印です。

丹後鉄道の橋りょうをくぐって

地固め地蔵付近まで戻って、丹鉄のレトロな橋りょうをくぐります。
この橋りょうは、鉄道の敷設当時に建造されたものであるそうです。

信号のある交差点を左折

橋りょうをくぐって少し進んだところの信号機のある交差点を左折します。

三江小学校

交差点から東向きに少し進むと、豊岡市立三江小学校があります。
小学校の敷地内には、コウノトリの人工巣塔が設置されており、世界で初めて学校の巣塔でコウノトリの雛が誕生した小学校だそうです。

三江小学校の人口巣塔

コウノトリの郷公園へ向かう道路から、小学校の敷地に設置されている人工巣塔を眺めることができます。
3月中旬に訪れましたが、コウノトリが営巣を始める時期であったこともあり、つがいと思われるコウノトリを2羽見ることができました。

④コウノトリを育むお米の田んぼ

ひたすらのどかな田んぼの風景が続く道を、まっすぐ進みます。
この辺りに広がる田んぼは、環境にやさしいコウノトリ育む農法で育てられた「コウノトリ育むお米」の田んぼです。
冬でも田んぼに水を張ってコウノトリの餌となる生き物を育てたり、田んぼと水路に生き物が行き来しやすいよう魚道が設置されていたりと、生物の多様性が確保できるように配慮されています。

田んぼの中を除いてみると…鹿らしき動物の足跡がありました!

コウノトリと出会えた!

ふと、近くの電柱を見上げてみると、なんとコウノトリがとまっていました!
田んぼの餌に狙いを定めているのでしょうか??

次の瞬間飛んで行ってしまいましたが、間近でコウノトリに出会うことができました。

何もない一本道のようですが、上を見あげればコウノトリが飛んでいたり、田んぼをのぞけば動物の足跡があるなど飽きることなく歩くことのできる道ですね。

栄町のバス停

栄町のバス停には、コウノトリが描かれています。
コウノトリの郷公園の近くだけあって、周辺には、コウノトリのイラストをたくさん見つけることができます。
食堂や、消防団の倉庫、橋の欄干などなどいたるところでコウノトリを見かけます。

右折ポイント

コウノトリの郷公園への案内看板があるところで右折します。

⑤ビオトープと巣塔

右折した先の農地は、地元の農家からコウノトリのために提供され、人口巣塔が建てられたり、ビオトープが整備されています。
この場所は、コウノトリの生態研究の場となっていたり、コウノトリの餌場、子供たちの環境学習の場ともなっています。
人口巣塔にコウノトリがいないと思っていたらビオトープで餌を探していました。

⑥コウノトリの郷公園

兵庫県立コウノトリの郷公園は、国の特別天然記念物コウノトリを保護増殖し、野生復帰を実現するための研究機関として1999年に開園した施設です。

コウノトリは、かつて日本の空を日常的に飛んでいた鳥でしたが、農薬の使用などの環境破壊によって日本から絶滅、豊岡市は日本で最後のコウノトリの生息地となりました。
コウノトリの郷公園では、コウノトリをふたたび大空に戻すための取り組みが続けられ、野外への試験放鳥などが重ねられた結果、2007年(平成19)に国内では自然界で46年ぶりとなるコウノトリの雛が巣立ちました。

2020年(令和2)には、野外にいるコウノトリの数が200羽を突破しています。

コウノトリのポストでしあわせ発信!

コウノトリの郷公園の入り口付近には、コウノトリのポストがあります。
このポストから、専用封筒にいれて投函するとコウノトリがデザインされた記念消印が押されるそうです。
専用封筒は、コウノトリ文化館や公園の駐車場にあるお土産屋さんで購入することができますよ。

コウノトリの文化館

一般に訪れる場合は、豊岡市立コウノトリ文化館に立ち寄りましょう。
敷地に内には、コウノトリの郷公園の管理研究棟・兵庫県立大学地域資源マネジメント研究科などの建物もあります。

コウノトリ文化館内

コウノトリの文化館内では、コウノトリのはく製や野生復帰の解説パネルが並んでいたり、企画展示のコーナーがあります。展示実習室では、豊岡周辺の生き物が紹介されていて、昆虫の標本や魚の水槽などが置かれています。

建物の外は、公開飼育ゲージになっていて、飼育されているコウノトリの観察をすることができます。

コウノトリ文化館では、1時間に2回、解説員の方からコウノトリの生態などについてわかりやすく説明をしていただけますよ。

散策を終えて

コウノトリの郷駅からコウノトリの郷公園まで、約4kmの道のりを歩いてきましたが、行程のほとんどが田んぼのそばを通る道のりでした。
今回は田植えが始まる前の散策でしたが、田植え時期は水が張られた透明色、夏には青々とした稲の緑色、稲刈りの時期は金色と季節に応じて景色の変化を楽しめます。
また、運が良ければ大空にはばたくコウノトリに出会うことができます。

季節ごとに楽しめる田んぼ風景と幸せを運ぶ鳥コウノトリに出会いにコウノトリの郷を歩きませんか?

コウノトリの郷駅周辺マップ

今回ご紹介した散策コースは、たじまフットパスのモデルコースにもなっており、2019年に但馬で行われたフットパス全国大会の際に作成されたマップを掲載しております。

フットパスとは
イギリスを発祥とする「森林や田園地帯、古い町並みなど地域に昔からあるありのままの風景を楽しみながら歩く(foot)ことができる小径(pass)」のことです。
たじまフットパスについて詳しくはこちら(たじま旅ネット)

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