佐々木蔵之介、万博ルーマニア館で語る“ヨナ”への想い。京都巡りの裏話も！

ルーマニアの国民的詩人の代表作が舞台に

『ヨナ‐Jonah』は、ルーマニアを代表する詩人マリン・ソレスクの代表作で、旧約聖書の聖人・ヨナのエピソードを題材としています。漁師で預言者でもあるヨナ（佐々木蔵之介さん）は、神に背いた罰としてクジラに飲み込まれ、3日後に生還。そんなヨナに待ち受けていたものとは……？ 暗闇の中、絶望と恐怖に打ちのめされながらも希望を求めてもがくヨナの姿は、心に訴えるものがあるはずです。

本作は、東京芸術劇場とルーマニア国立シビウ「ラドゥ・スタンカ」劇場が国際共同で製作した新作舞台です。

単身ルーマニアに渡り、東欧諸国6都市で大盛況

記者会見が行われたのは、大阪・関西万博の、ルーマニアパビリオン。

会見には佐々木さんのほか、演出家シルヴィウ・プルカレーテ氏らクリエイター陣が登壇。佐々木さんとプルカレーテ氏は『リチャード三世』『守銭奴』などでタッグを組んできた盟友です。

今回の新作に挑むため、佐々木さんは4月末に単身ルーマニア・シビウへ。約1カ月の稽古を経て5月にシビウで世界初演し、その後はルーマニア国内に加え、モルドバ・ブルガリアなど東欧6都市の国立劇場を巡るツアーを敢行。
どの都市でもチケットは完売し、6月に出演した「シビウ国際演劇祭」では満場の観客が拍手を送りました。

ルーマニアで過ごした2ヶ月で絆を深めた仲間

日本公演を前に佐々木さんは、ルーマニアでの日々を振り返りました。

「『ヨナ‐Jonah』は、ルーマニアの国民の方々とって、魂のような戯曲。日本で例えると、宮沢賢治さんのような存在です。その『ヨナ‐Jonah』の公演で、4月から2カ月ほどルーマニアで生活し、そして東欧でツアーをしました。その期間は、皆と一緒に毎日のように（アルコール度数が）50度ぐらいあるお酒を飲んで、ご飯を食べて。そうして一緒につくったからこそ、ルーマニアでしか成し得なかったような、東欧の香りがする作品になりました」と佐々木さん。

さらに「僕にとって、ルーマニアは世界中で一番ハグし合える仲間がいる国になりました。この絆をこれからも大切にしたいと思います」とコメントしました。

佐々木さんの故郷である京都の平安神宮でご祈祷

また会見前日には、佐々木さんがルーマニアのスタッフに京都を案内したそう。

「三十三間堂に行って、千体の『千手観音立像』を見て自分に似ている観音様を探したり（笑）。そして、平安神宮で『ヨナ‐Jonah』の日本公演成功のご祈祷をしました。そのあとは食事をして、夜の祇園白川をちょっと散策しました」と笑顔で語り、「いよいよ、これから日本公演が始まります。 皆様に、この日本とルーマニアの合作、共同制作の作品をぜひ楽しんでいただければと心から思っています」と日本公演への意気込みを新たにしていました。

会見中は、共に作品を生み出した仲間たちの言葉に深く頷きながら耳を傾けていた佐々木さん。その表情には、ルーマニアでの日々と仲間への尊敬、そして作品への強い思いがにじみ出ていました。

佐々木さん渾身のひとり芝居『ヨナ‐Jonah』。壮大な制作背景を知ることで、より深く作品を楽しめそうです。

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