地元の人がおすすめ♡ 一度は歩いてみるべき「歴史のロマンを感じるコース」【奈良】
奈良県内には日本最古の道『山の辺の道』や、大阪と奈良を結ぶ古道『暗峠』など人気のハイキングコースが数多くあります。今回は奈良市の中心街から忍辱山(にんにくせん)の間を通る『滝坂の道』をご紹介します。
奈良の市街地から奈良市東部の柳生・月ヶ瀬方面へと通じる道を『柳生街道』と呼び、鎌倉時代初期には存在したと言われています。『滝坂の道』は、その柳生街道の前半部分にあたります。
■忍辱山バス停を起点に奈良公園方面へ
滝坂の道を歩く場合は忍辱山バス停を起点にして、奈良公園を目指すと下り坂が多いのでおすすめです。
JR・奈良駅、または近鉄奈良駅から、石打(または柳生)行きの奈良交通バスに乗ると、30分ほどで忍辱山バス停に到着します。ただしバスは数時間に1本程度しか運行していないので、バスの時刻表は事前に確認しておきましょう。
忍辱山バス停から奈良公園付近まで片道3時間半ほどです。
なお忍辱山バス停のすぐ近くには『円成寺(えんじょうじ)』というお寺があります。忍辱山は円成寺の山号です。庭園が美しいお寺ですので、時間に余裕があれば立ち寄ることをおすすめします。
国道369号線沿いにある石畳の歩道が『滝坂の道』です。ここから奈良公園方面へ歩いていきます。道中には磨崖仏(まがいぶつ)や石窟仏(せっくつぶつ)などの見どころがあるので、設置されているマップや道標を確認しながら進みましょう。
柳生街道は明治時代初期まで、柳生村の人々が奈良や大阪へ向かう際に通行する主要道だったそうです。1897年(明治30年)になると、柳生の隣にある笠置村(かさぎむら・今の京都府相楽郡笠置町)に、笠置駅が開業すると、鉄道を利用しての往来が一般化しました。
滝坂の道には、東海自然歩道の道標があちこちに立っています。
忍辱山寄りの道は石畳が少なく、山道やアスファルトの区間が多いです。奈良公園に近づくにつれて、石畳が多くなっていきます。
■江戸時代から続く茶屋
中間ポイントとなる石切峠には、江戸時代から続くと言われている茶屋があります。茶屋では、お茶やわらび餅をいただくことができます。なお昔、この辺りで寺院に使う石材を切り出していたことから『石切峠』と呼ばれるようになったそうです。
■道中は史跡の宝庫
こちらは凝灰岩層をくり抜いた石窟に、仏像が線刻されている『地獄谷石窟仏』です。洞窟は開口3.9m、奥行き2.9m、高さ2.4mもあるそうです。中央には盧遮那仏(るしゃなぶつ・または釈迦如来とも)、向かって右に十一面観音、左には薬師如来が線刻されています。
奈良時代後期の作と考えられており、奈良の東大寺大仏殿建立の際に、石材採りの石工が彫刻したという説や、山伏(やまぶし)が洞窟に彫刻したという説があります。
1000年以上前に描かれたものにしては彩色の跡が残っており、金箔の痕も確認されています。
こちらは穴仏とも呼ばれる春日山石窟仏。東西2つの凝灰岩質の石窟で、平安時代末期の1155年の作と石窟には刻まれています。
春日山石窟仏の東窟は間口約5m、奥行約2.4m、高さ2.4mの石窟です。西側の壁面には地蔵菩薩立像が4体、写真には写っていませんが東側の壁面に菩薩形立像3体、東西両壁に天部立像各1体が彫刻されています。
■石畳を歩いて奈良公園へ
奈良公園に近づくにつれて石畳が増えてきます。なお、この辺りは世界遺産『春日山原始林』の中です。春日山原始林は9世紀に狩猟・伐採が禁じられ、『神山』として守られてきたそうです。
ただ、近年は外来種のナギやナンキンハゼと呼ばれる木が育ち、原始林が衰退してしまっているため、試験的に外来種の伐採が実施されているのだとか。
途中、朝日観音や夕日観音などの石仏も存在しますので、チェックしておきましょう。
アスファルトの道に出てしばらく歩くと、新薬師寺や志賀直哉旧居などの観光スポットがある高畑町(たかばたけちょう)に到着です。ここからは駅まで歩いて帰るのも良し、破石町(わりいしちょう)バス停からバスに乗って帰るのも良しです。
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<スポット情報>
柳生街道・滝坂の道
住所:奈良県奈良市
高畑町から北へ進むと春日大社や東大寺がある奈良公園方面です。体力と時間に余裕のある方は、ぜひご参拝してみてください。また、西へ歩くと古民家を利用したお店が立ち並ぶ『ならまち』エリアがありますよ。(取材・文/東ポチ)
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※ 東ポチ
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