家族の命を守る 子連れ「防災」を学ぼう
災害に強いファミリーになろう!
台風、大雨、洪水、そして地震…。ここ数年、各地で大規模災害が発生しています。 幼い子どもを連れての避難は想像以上に厳しいもの。また、避難所での新型コロナウイルス対策などの新たな心配も増えました。今回は「親子サークルUME」のママたちから「こんな時どうしたらいいの?」のリアルな質問に、「東播磨地域防災の会」の防災士の方々が答えてくれました。この機会にぜひご家族で防災について話し合ってみてください。
1.質問に答えてくれたのは
2.日頃の備え
3.災害が起こったら
4.避難中の過ごし方
5.遊びの延長で身を守るポーズをマスターしよう
6.キャンプ体験が防災に強い子へ
質問に答えてくれたのは
ひょうご防災リーダー養成講座を修了したメンバーで活動する「東播磨地域防災の会」。幼児安全法講習会やAEDを用いた心肺蘇生法、避難所運営ゲームなど、さまざまな出前講座を無料で講習しています。「防災訓練に体験する機会があれば、ぜひ参加してほしい」と呼びかけています。
親子で参加でき、ママと子どもが楽しんで続けられるサークルです。季節の行事、地域での世代間交流、食育に畑でお野菜作り、絵本の読み聞かせ、老人ホームやデイサービスの訪問、手形アートなど型にはまらない活動をしています。また、いざというときにすぐ行動できるよう、年に数回「東播磨地域防災の会」の方をお迎えし、防災や幼児安全法講座を行っています。
日頃の備え
普段の暮らしからできる災害時の備えを教えてください。
山口防災士
「ひょうご防災ネット」や「Yahoo!防災情報」、「NHKニュース防災」などの災害情報アプリに登録しておくと、災害時に情報を得やすく役立ちます。また、ハザードマップで最寄りの避難場所(主に小中学校)や高台で一番近い避難所、ルートも確認しておきましょう。
※ひょうご防災ネットでは3カ所の市町の登録ができます。自宅や職場、祖父母が住む地域を登録して情報を受信しましょう。
避難リュックですが、子連れの場合はどんなものを入れておくと便利ですか?
岡田防災士
ママが避難時に持てる荷物は10キロ程度といわれています。赤ちゃんや子どもを抱く場合は、もっとリュックを軽く小さくすることを心がけてください。
食品備蓄はスペースが必要だし、気が付くと賞味期限切れの場合も。良い備蓄方法はありませんか?
岡田防災士
缶詰や加工品などの非常食を日常生活で食べて買い足す「ローリングストック法」がおすすめです。常に新しい非常食が備蓄でき、スペースもさほど必要ではありません。さらに、普段から食べているものが食卓に並ぶので災害時も安心して食事ができます。
また、災害時は野菜不足になりがちです。野菜ジュースや野菜の冷凍食品などを備蓄しておくと良いでしょう。家族に食物アレルギーがある場合、対応食の備蓄は必須です。
災害が起こったら
パパの帰宅が遅いので、もし携帯がつながらなくなったらどうやって連絡をとればいいですか?
山口防災士
NTTが提供する災害用伝言ダイヤル(171)はご存知ですか?災害時、被災地へつながりにくくなった場合に提供が開始されます。毎月1日、15日の0時~24時などには体験利用することができます。災害時に備えて利用方法を覚えましょう。
つい自分たちだけは大丈夫と思いがちですが、子連れで避難するタイミングは?
岡田防災士
子連れ避難は大人だけの避難に比べ時間がかかります。「避難所が開設されました」という防災情報で自主的に避難を始めてください。無駄足になるのではと思わず、避難所を体験してみるぐらいの気持ちで、できるだけ明るい時間に行きましょう。
日頃からご近所さんやママ友と防災について話し合い、いざという時には声を掛け合って早めに避難することが命を守ります。
避難所までは車で行ってもいいですか?
岡田防災士
子連れで避難する場合、「子どもは抱っこして徒歩」が原則です。車はがれきや濁流によっていつもは通れる道が通れなかったり、水深が25cmあると車は進めません。避難の途中ではぐれないように抱っこひもが使える年齢なら使うことをおすすめします。
抱っこの場合でも何があるかわからないので、子どもにも必ず靴を履かせていきましょう。水が内部に溜まって歩きにくくなる長靴は厳禁です。家族全員がスニーカーで避難しましょう。
避難中の過ごし方
避難所は密になりやすく新型コロナウイルスへの感染が心配です。災害時は自宅避難したいのですが…。
山口防災士
6月に内閣府が新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練のガイドラインを発出し、十分なスペースの確保、避難所全体のレイアウトについて助言しています。
しかし、避難所開設時は混雑が予想されます。感染症予防のため3日分のマスクと除菌シートは必ず持参しましょう。災害の恐れのない親戚宅に早めに避難するのが感染防止になるのでおすすめです。避難所か自宅避難かは各家庭での判断になります。
これまでの大規模災害では子連れの場合は自宅避難派(自宅が危ない場合は親戚の家など)が少なくありません。自宅避難は、情報と支援物資を入手しにくいというマイナス面もあるので、家族でしっかり相談を。
避難所で子どもが騒いで周囲に迷惑をかけないか心配です。
岡田防災士
内閣府の「避難所運営ガイドライン」では、「キッズスペース(子どもの遊び場)の設置を検討する、と明示されています。しかし、被災直後から設置までにはしばらく日数がかかります。家族で手遊び、しりとり、折り紙など、狭いスペースでもできる遊びで、いかに子どもの気を紛らわせ、遊びを続けさせるかがポイントになります。
また、子どもの心を落ち着かせるにはお菓子が効果的です。健康面もサポートするために栄養価の高いものを選びましょう。
避難中の子どもの心のケアはどうすればいいですか?
山口防災士
実際、東日本大震災後、乱暴になったり、落ち着きがなくなったり、赤ちゃん返りをしたり、親から離れられない、地震ごっこをする、体調不良や発疹があるなど、さまざまな子どもの変化がありました。これらはすべて正常な反応です。
何よりまずは抱きしめて寄り添い安心させてください。無理に話を聞きださなくても大丈夫です。自分から話し始めたら、子どもの話に集中し否定せずに「そうだね」と共感を。ママが日常と同じ笑顔で過ごすことが子どもにとって一番の安定剤です。
遊びの延長で身を守るポーズをマスターしよう
頭を守るため危険なものにお尻を向け、ひざとひじを床につけて、手は頭を抱えるように上で組みます。
キャンプ体験が防災に強い子へ
普段、キャンプによく出かける家族の子どもは、避難生活の電気がつかない、食糧がない、トイレがすぐ使えないなどの不便さを、キャンプと同じ遊びと捉えることができストレスをあまり感じずに過ごせた、と大規模災害を体験した家庭からの声が多数ありました。
また、寝袋・ランタン・クーラーボックス・水用ポリタンクなどのキャンプ用品の多くは防災グッズとしても役立ちます。アウトドアが苦手な家族は、リビングなどにテントを張り、電気・ガス・水道を使用せず、防災セットと備蓄した水と食料だけで生活する「おうちDEキャンプ」をしてみませんか。
実際、キャンプ体験をしてみれば、準備しておいたら役立つ我が家の防災グッズを知ることにもなります。