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鉄道遺産 桃観トンネルそばの秘境駅から伝統を受継ぐ村・久谷を歩く

「たじま途中下車の旅」~久谷駅編~

新温泉町の東端にある久谷駅。
東隣に位置している余部橋梁(香美町)とともに山陰線敷設時に最大の難工事といわれた桃観(とうかん)トンネルのすぐそばに駅があります。
久谷駅近くの久谷集落では、重要無形民俗文化財に指定されている2つの民俗芸能が大切に受け継がれています。
そんな日本の暮らしと文化が息づく久谷地域を散策してみましょう。

 

①久谷駅

久谷駅は、1912年(明治45年)山陰本線の香住駅-浜坂駅間延伸により開業しました。
現在は駅舎と呼ばれる建物はなく、簡易なバス停のような待合場所があるだけで周囲に民家もない、まさに「秘境駅」です。
かつては駅舎が設置されていましたが2012年(平成24年)に棒線化の工事が行われたことにより、2番線のみが使用されるようになり1番線側にあった駅舎も使用されなくなりました。

 

②桃観トンネル

久谷駅からのぼり方面を眺めるとトンネルが見えます。
明治時代の記憶を今に伝える鉄道遺産「桃観トンネル」です。

桃観トンネルのある桃観峠は、太ももがうずくほど険しい峠(うずいたももる)だったことが名前の由来とされてとされています。
昔は「ももうづき峠」「ももみ峠」などと呼ばれていたそうです。
鉄道敷設の際に、現在の「桃観(とうかん)」という表記に変更されました。

この峠を貫くトンネル工事は、1908年(明治41年)から1912年(明治45年)まで、完成に約4年の歳月を要し、落盤や出水など困難を極めた難工事が続いたそうです。
困難を極めたトンネル工事では、多くの犠牲者も出しました。

入り口はレンガ造りの馬蹄形で、トンネルの脇には石柱、上部には石額と豪華なつくりになっています。
開通当時は、山陰線で最も長いトンネルでした、現在でも島根県の大刈トンネルに続いて山陰本線のなかで2番目に長いトンネル(1922m)です。

 

桃観トンネルの石額

トンネルの上部の石額には「萬方惟慶(すべての人がこれをよろこぶ)」と書かれています。
当時の鉄道院総裁であった後藤新平の筆による揮毫で記されており、このトンネルが当時重要な場所であったことがうかがえます。
反対の香美町側のトンネル入り口には「惟徳罔小(この徳は少なくない)」と書かれた石額が掲げられており
現在も使用されているトンネルの中でも、明治時代の石額は数少なく、全国的にも貴重な鉄道遺産となっています。

 

③久谷八幡神社

桃観トンネル近くの踏切付近から国道178号線に出て、坂道を5分ほど下っていくと左手に石造りの鳥居が見えてきます。
久谷地区の氏神である久谷八幡神社です。

 

桃観トンネルの招魂碑

鳥居をくぐって少しいったところにこけむした石造りの碑が建立されています。
桃観トンネルの工事で亡くなった27名の犠牲者を祀った招魂碑です。
碑の裏側には、犠牲者の方々の氏名が彫られており朝鮮の方の名前も見受けられます。

 

久谷八幡神社

荘厳な雰囲気の森の中の参道を歩いていくと久谷八幡神社の本殿が見えてきます。
この神社は、かつて香美町との境にある蓮台山頂にあり、1414年(応永21年)に現在の場所に移ってきたそうです。
きれいに整えられた参道や、立派な本殿の覆屋などからは、地域の方々がこの神社を大切にされていることが伝わります。

 

久谷ざんざか踊り

2019年におこなわれた久谷ざんざか踊りの様子

久谷八幡神社の本殿前では、毎年9月に風流太鼓踊りのひとつである「ざんざか踊り」が奉納されます。
「ザンザカザットウ」の掛け声とともに披露される伝統的な踊りは、保存会が結成されていて中学生を対象に代々守り伝えられているそうです。

 

久谷八幡神社前から国道178号線を横切り久谷集落へ入る道へと向かいます。
集落に入ってからは川沿いにそって集落内を進んでいきます。

 

④久谷集落

久谷集落の中央付近には、石州瓦の赤屋根が特徴的なかつての庄屋屋敷があります。
代々、氏子総代を務め、ざんざか踊りの当日には庭先で踊りが披露され祭りの最高潮を迎えます。

 

久谷民俗芸能伝承館

集落の中心地には、久谷のもう一つの民俗芸能である「菖蒲綱引き」が平成元年に国の重要無形民俗文化財に指定されたことから建てられた「久谷民俗芸能伝承館」があります。

菖蒲綱引きとは、菖蒲やヨモギなどを綯い込んだ綱を引きあう民俗芸能です。
毎年6月5日に住民総出で行われ、大人と子供に分かれて綱を引き合い大人が勝てばその年は豊作になるといわれています。かつては全国で行われていた行事だそうですが、現在では、兵庫県北部、鳥取県、秋田県、福井県などで伝承されるのみとなっています。
久谷の菖蒲綱引きは、江戸時代から日本海沿岸に伝わる綱引き行事の形態をよく伝えているそうです。

 

さらに川沿いに集落を下っていくと、川の向こうのぽこぽこと丸くきれいに剪定された山肌があらわれます。
その先の橋を渡って、その山肌の階段を登ると今回のゴール地点である「久谷の五輪塔」に到着します。

 

⑤久谷の五輪塔

久谷の五輪塔は室町時代のものと推定されていますが、
言い伝えでは源平合戦で敗れて、落ち延びてきた武将を供養するために建てられたと伝わっています。
浜坂方面から久谷に来た場合には、集落の入り口に位置する場所にあります。

 

久谷駅への帰り道

帰りは、集落から直接、久谷駅へ上がることができます。
「久谷民俗芸能伝承館」付近の路地から行くことのできる集落内トンネルの脇の坂道から歩いて上がります。

 

線路を並走するように歩けば久谷駅のホームに到着します。
一部フェンスなどもなく線路のすぐそばに道があるので鉄道が通過すると迫力があります!

 

鉄道黎明期の壮大なストーリーをもつ鉄道遺産「桃観トンネル」。
そのそばにたたずむ秘境の駅から久谷集落をぐるりと歩いてきました。

ざんざか踊りや菖蒲綱引きのような無形の民俗文化財が守り伝えられていることや、久谷八幡神社、古くから伝わる五輪塔など有形のものをみても久谷集落の方々が伝統文化を大切に受け継いできているということが伝わります。
日本の暮らしと文化に触れることのできる村・久谷を訪れてみてはいかがでしょうか?

 

たじま途中下車の旅~久谷駅編~散策マップ

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