空襲、統制、激動の時代を越えて… 大阪の老舗洋食「自由軒」名物カレー誕生秘話
大阪を代表する名物グルメといえば、お好み焼きやたこ焼きを思い浮かべる方も多いはず。しかし、大阪・難波の街で100年以上もの間、圧倒的な存在感を放ち、世代を超えて愛され続ける“名物カレー”があるのをご存知でしょうか?
今回は、2026年06月28日(日)に放送された読売テレビ『大阪ほんわかテレビ』の人気コーナー「情報喫茶店~ほんわか100年百景~」から大阪・難波で100年以上続く老舗洋食店「自由軒」をご紹介します。
※この記事は2026年06月28日(日)放送時点の情報です。最新の情報は店舗にお問い合わせください。
時代を超えて愛される難波の老舗洋食店「自由軒」
大阪を代表する洋食店として知られる「自由軒」。ライスとルーがあらかじめ混ざり合った独特のスタイル「名物カレー」で知られる同店ですが、創業は1910年(明治43年)と、なんと今年で創業116年!
お店を訪れたお客さんからは「お手頃でメニューも豊富で毎日来てもいろんなもん食べられるのがいい」「名物カレーがおいしいのでこれが食べたくて来てます」「It's fantastic! Very good.Very well price.」といった声が上がり、海外のお客さんも訪れる観光名所になっています。
人々の胃袋を満たしてきた「名物カレー」誕生の裏側
炊飯器がない時代のある悩みから生まれた画期的アイデア
そんな「自由軒」は、1910年、大阪初の西洋料理店として難波で創業。現在はビックカメラなんば店がある、お店の向かいには、かつて劇場・水族館・ローラースケート場などを備えた一大娯楽施設「楽天地(1914〜1930)」があり、非常に賑やかなエリアだったんだそう。
初代・吉田四一さんが店を構えた当時、世間では「自由民権運動」が流行していました。初代はその「自由」という言葉に感銘を受け、店の名前を「自由軒」と命名。当時は敷居の高かった洋食を自由に食べてほしいと、リーズナブルに提供する洋食店を開いたのです。
そして創業してまもなく名物メニューが誕生します。それがあらかじめご飯とカレーを混ぜ合わせた「名物カレー」でした。
きっかけは、当時の時代ならではの「ある悩み」から。開店当初はルーとご飯が別々の一般的なスタイルで提供していましたが、当時はまだ炊飯器がない時代。一度炊き上がったご飯を熱々のままキープすることが難しく、「ご飯が冷めてしまう」という課題を抱えていたのです。
そこで初代は「型にハマらんでええ、もっと洋食は自由でええんや」と発想を転換。冷めてしまったご飯を熱いカレーとともにフライパンで一気に炒め混ぜ合わせる方法を編み出しました。
効率重視の「大阪の商人」たちの間で大ヒット
さらに、当時は高級品だった卵を上に乗せることで栄養面もカバー。今や定番となった「カレーに生卵トッピング」というスタイルは、「自由軒」が先駆けと言われています。
このスタイルは、忙しい大阪の商人たちの間で大ヒット。ご飯の炊き上がりを待つ必要がなく、自分で混ぜる手間すら省いてスプーンひとつでスピーディーに食べられる効率の良さが商人の心を掴みました。テーブルマナーを気にせず気軽に洋食を楽しめる工夫は、まさに初代がお客さんのことを考え抜いて生み出した究極の形でした。
織田作之助の代表作『夫婦善哉』にも登場
昭和に入ると店舗を拡大し、客席100席、従業員40人を超える人気店へと成長。さらに、ある人物との出会いでその知名度は全国区に広がります。
その人物とは、後に「東の太宰、西のオダサク」と謳われた昭和の人気作家・織田作之助。無名だった頃、彼は「自由軒」に通っていつも「名物カレー」を味わいながら小説の構想を練っていました。
そうして生まれた代表作『夫婦善哉(めおとぜんざい)』には、「楽天地横の自由軒で玉子入りのライスカレーを食べた」と「自由軒」がそのまま登場。この小説のヒットにより「オダサク好みの店」として自由軒の知名度は一躍全国区に!
「すべてを失っても創業の味だけは守る」二代目が繋いだ意志
しかし、順風満帆な歩みばかりではありませんでした。第二次世界大戦中、激しい食糧統制や「横文字料理は敵国のもの」という風潮からカレーの提供が困難になり、一時はうどんや食用蛙で凌いだ時期も。さらに1945年の大阪大空襲により、店舗は跡形もなく消失してしまいます。
それでも「灯火を消さない」と立ち上がったのが二代目店主の吉田四郎さんでした。バラックから再起を図り、1947年(昭和22年)、創業の地に自由軒を再建。見事に伝統の味を復活させたのです。
「すべてを失っても創業の味だけは守る」そんな断固たる意思があったそうで……、「秘伝の味ですので代々、銀行の貸金庫に(レシピ)を入れて今も守ってる」と若女将・吉田純子さん。
その後、難波の街が復興を遂げると、近隣に開業した「なんば花月」の芸人たちからも深く愛されるように。間寛平さんや明石家さんまさん、ダウンタウンをはじめ、数々の芸人が足を運ぶ憩いの場となりました。
創業から116年。愛され続ける理由は、時代の波に押されても大阪の食文化を象徴する味を断固として守ってきたこと。いつの時代も庶民に寄り添う「大衆洋食」のプライドを貫いてきたからにほかなりません。
【名物カレー】オススメの食べ方は?
誕生秘話を押さえたうえで、よりおいしく堪能できるオススメの食べ方をご紹介します。
まずは、混ぜずにそのままの味を楽しみます。
続いて生卵を崩して全体によく混ぜ合わせると、ピリッとした辛さが一気にマイルドでまろやかな味わいへと変化します。
仕上げは、自由軒特製のソースをかけて「味変」を楽しむのがおすすめ。ソースの旨味が加わり、大阪らしい深みのある味わいを堪能できます。
ブレない流儀があるからこそ、私たちは今もあの一皿に惹かれ続けるのですね。激動の時代を生き抜き、令和の今も難波の街で輝き続ける大阪の宝。この記事を書き終えた今、猛烈にあのスパイシーな香りが恋しくなっています。今日のランチは、自由軒で決まりです!
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大阪ほんわかテレビ
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※この記事は2026年06月28日(日)放送時点の情報です。最新の情報は店舗にお問い合わせください。
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