【兵庫・オンラインでも買える】体にやさしいモチモチ点心が話題の台湾料理店
関西の輝く女性にスポットライトを当て紹介するwebマガジン『anna』の連載企画『あんな、ひと』。第6回目の『あんな、ひと』は台湾出身で神戸在住のリン・シエさん。
ファッションやアートの勉強のために訪れた神戸の街の心地よさに魅力を感じ、今は神戸で2軒の台湾料理店を経営し、水墨画教室なども手がけています。
台湾料理店店主であり、アーティストでもあるリン・シエさんが神戸で活動する理由や彼女が手がける台湾料理の美味しさの秘密について取材をしてきました。
■南部スタイルの点心が充実する台湾料理店
今回の『あんな、ひと』リン・シエさんの拠点は、神戸市須磨区の台湾料理店『小宇宙食堂(しょううちゅうしょくどう)』。カウンター6席のみの小さな食堂で、リンさん自身が幼い頃から食べてきた台湾家庭料理の味を再現しています。
看板メニューが『滷肉飯(ルーローハン)』。
いま、全国的に注目されつつある台湾グルメの定番料理です。ただし、『小宇宙食堂』の滷肉飯は想像していたものと少し違います。
滷肉飯は、ごはんの上に滷肉をのせた台湾の豚丼のような料理。「日本のみなさんがイメージする濃いめの味付けの魯肉飯はどちらかといえば台北の魯肉飯なんです。“小宇宙食堂”で提供している滷肉飯は、台南地方の味付け。滷肉飯が得意料理だった父のレシピを活かして、つゆだくであっさり味に仕上げています」とリンさん。
点心類も豊富で、季節ごとに旬の食材を取り入れています。「香港など中華料理の点心には薄皮なものが多いですが、“台湾点心”の中でも台南では、天然酵母のチカラでモチモチとした生地の点心が特徴です。店では、私の地元で朝食に食べることが多いものをお出ししているので、スパイスも強くなく味付けのやさしい点心に仕上げています」と教えてくれました。
リンさんの台湾料理が知られるようになったきっかけのひとつが、毎週土曜日の10時30分〜14時に神戸市内で開催されている朝市『EAT LOCAL KOBE FARMERS MARKET』です。常時15~30ほどのブースが軒を連ね、神戸産の野菜や海産物、それらの食材を使った食品などが販売されています。
『小宇宙食堂』として出店を始めて約4年。リンさんのこだわりが詰まった料理に共感する常連さんも増えてきました。
■豊富な食材と居心地の良さが神戸の魅力
「海のものや山のものなど、食材が充実していて暮らしやすい神戸が大好き」と話すリンさんが、神戸に来たのは、交換留学がはじまりでした。
「台湾の芸術大学で水墨画の勉強をしながら、ファッションの学校にも通っていたんです。掛け持ちで活動する中で小さなアパレルブランドを立ち上げて……、その時の作品が神戸の芸術大学に認められて、1年間、留学生として日本にやってきました」とのこと。
留学中に心を動かされたのは、複数専攻で学んでいた“ドローイング(線画)”です。「台湾の大学は伝統のある芸術大学だったので、伝統的な技法についてはたくさん教わりました。ただ、台湾でメジャーになるには、有名な賞をとるしかなくて……。日本では自由な発想で作品を作って活躍している方がたくさんいることが衝撃的だったんです」とリンさん。
また、台湾に比べて美術館を訪れる人が多く、芸術を身近に楽しんでいる雰囲気が心地よく、台湾の大学を卒業後、神戸の大学院で再度学ぶために、日本に戻ってきました。
大学院時代には、個展やイベントなど発表の場があれば積極的に参加。出展の声がかかることも増え、卒業後も作品発表の機会が多い神戸にとどまることにしたんだそう。
定期的にイベントに参加したり、ミュージアムショップに作品を置かせてもらっていたリンさんは、個展で知り合った人たちの希望で、自宅で少人数制の水墨画教室を始めることになります。
台湾の文化も一緒に教えていく水墨画教室は大好評! 生徒さんが増え、その規模が大きくなってきたときに「参加してくれたお礼にと、台湾の家庭料理を台湾ランチとして振る舞ってみたんです。そうしたら、その料理がSNSでどんどん広まって……」と、筆文字のオリジナルテキストを使った料理教室も始めることに。
なにごとにも興味を持ったらのめり込むタイプのリンさんなので、料理教室を始めたタイミングで一度台湾に戻り、台北の料理学校で学んだあと、日本と台湾を往復して台湾の調理師免許を取得しました。「料理もアートと同じように、作品作りのように思えたんです」と、思い出を語ってくれました。
料理教室を経験して、もっと台湾南部の家庭料理を知ってほしいと始めたのが、『EAT LOCAL KOBE FARMERS MARKET』での販売でした。最初は自分で販売できる場所を探していましたが、次第にショッピングモールや百貨店などの催事からも参加依頼が届くようになったそう。
イベントでの販売にも慣れてきたタイミングで、今度は常設店の開店を決意。2020年2月、神戸市須磨区に『小宇宙食堂』の1号店を開店しました。
その後、2021年8月には阪神・新在家駅から3分、JR・六甲道駅からも約5分の好立地に2号店をオープン。こちらはランチのテイクアウトが大人気なんだそう。
■信条は「食養生」。体にいいメニューを家族に、お客様に!
私生活では、留学生仲間だったポーランド出身の男性と結婚して、2人の娘さんと家族4人で暮らすリンさん。
そんなリンさんの1日はとても多忙です。平日は7時頃に起床し、娘さんたちを起こして朝食づくり。小学生の長女を送り出したあとは、次女を保育園に連れて行き、急いで須磨の店に向かいます。
店では、まず点心の仕込みからスタートします。重要だと語るのは点心生地の発酵です。日光による自然発酵にこだわり、オープン前までに蒸しの作業に入れるよう日照時間を考えて準備を進めます。
経営する2店舗ともに、料理の最終確認は必ずリンさんが担当。準備が一段落したあとは、店をスタッフに任せて西神戸の市場に向かいます。
仕入れを終えて次女のお迎えに。そのまま六甲の店に向かい、翌日分の下ごしらえや調理をします。
18時ごろに帰宅すると、今度は家族の晩ごはん作り。「家族のごはんは名前のないようなものが多いんです(笑)。たとえば、大根の炊いたものとか……。ハンバーグや唐揚げは作りません」とリンさん。
日頃から健やかに過ごすため、食べることで自然治癒力を高め、日々の食事に気を使うという“食養生”という考え方にこだわり、シンプルに食材の味を味わえるようなレシピを意識しているそうです。
リンさんのそんな想いは、店で提供されるメニューにもギュッと詰まっています。発酵過程を天日で行ったり、神戸産の旬食材にこだわって季節ごとにメニューを変更するなど、自然の力や天然の素材を使った料理を心がけています。
『小宇宙食堂』では、点心のセット販売など、テイクアウトやオンラインの販売に力を入れています。「コロナ渦になってからオープンしたので、この状態が当たり前なんです(笑)」というリンさん。
また、「台湾にとらわれることなく、体にいい総菜を作りたい」というのも、今後のビジョンのひとつなんだそう。
今も続けている水墨画教室、料理教室、週に1度のマーケット出店に、2つの店。そんな暇もないだろうなと思いながら「趣味を楽しんだりする時間はあるんですか?」と聞いてみたところ、「いまは、がんばって店を軌道に乗せたいので……。趣味を持つとまた新しい仕事にしちゃうんですよ(笑)」と教えてくれました。
店で使う丹波焼の器は自身で絵付けしてみたり、「20歳の頃に目指していたファッションの仕事はどこかで実現したい」と店のエコバックをオリジナルで作るなど、いつも前向きなリンさんのやりたいことはまだまだ尽きないようです。
■「小宇宙食堂」のおすすめメニュー!
(1)滷肉(ルーロー)飯 定食(1,200円・税込)
緑豆と黒豆など、日によって変わる雑穀米のごはんの上に、豚の軟骨と豚ミンチを7〜8時間かけて煮込んで作る滷肉をドーン! クミンや八角などのほのかなスパイスが心地よく、素朴な味わいです。
写真は『小宇宙食堂 須磨space&deli』の『滷肉(ルーロー)飯 定食』(1,200円・税込)です。小鉢と汁物、お茶が付きます。
『小宇宙食堂 南台湾ごはん』では、小鉢と汁物が付いた『滷肉(ルーロー)飯 定食』(1,000円・税込)と滷肉飯単品(小500円、並700円、大900円・税込)があります。
(2)点心三兄弟(1,000円・税込)
焼き点心を3つ組み合わせたセット。季節によって具材が変わりますが、写真は右上から時計回りにキャベツがたっぷり入った豚まんをカリッと焼いた“キャベ豚まん”と生地にウコン(ターメリック)を練り込んだ“ターメリック豚まん”、豆乳由来の自然な甘さが魅力の“カスタードまん”の3種類です。
(3)巻きまん四点(1,100円・税込)
もっちりした蒸し点心、花巻の盛り合わせです。写真は右上から時計回りにパクチー、ターメリック、ねぎ、胡麻を混ぜています。ほかにも黒豆や黒糖が定番で並び、旬の食材を生地に使った季節の『巻きまん』も見逃せませんね!
※オンラインストアでは、『点心三兄弟』『巻きまん四点』などの点心が6個入った『おうちで小宇宙点心セット』(2,200円・税込 ※送料別)が販売されています。
<店舗情報>
小宇宙食堂 須磨space&deli
住所:兵庫県神戸市須磨区本町1-1-3
電話番号:080-5781-8805
営業時間:11:00~14:00
※予約可
定休日:なし
※臨時休業については、Instagram(@shouchu_shokudo)をご確認ください。
<店舗情報>
小宇宙食堂 南台湾ごはん
住所:兵庫県神戸市灘区友田町1-4-19-2
電話番号:078-223-8376
営業時間:【日・月・火】11:00〜14:30(L.O.)【水・木・金・土】11:00〜14:30(L.O.)/17:30~20:30(L.O.)
デリバリー:10:30〜14:30(L.O.)/17:00~20:30(L.O.)
※テイクアウトは営業時間と同じです。
※予約可
定休日:なし
※臨時休業については、Instagram(@shouchu_shokudo)をご確認ください。
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『あんな、ひと』では、次回も関西で活躍する女性にスポットライトを当て紹介します。お楽しみに!(取材・文/高田強、撮影/井原完祐)
【画像・参考】
※ リン・シエ/高田強/anna
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