全国で唯一残る場所も!大阪城の普段は入れない場所に行ってきた
「令和8年 重要文化財 大阪城の櫓YAGURA特別公開」と題して、春・夏・秋の各シーズンに期間を設け、国の重要文化財に指定されている古建造物の内部を特別公開している大阪城。
2026年7月18日(土)~8月16日(日)の土日祝には、西の丸庭園にある重要文化財「乾櫓(いぬいやぐら)」が特別公開されています。普段は見ることのできない櫓内部やその構造を見学でき、大阪城へ何度も訪れている方でも、天守とはまた違った視点から城の防御施設を知ることができる貴重な機会となっています。
一般公開に先立って行われた内覧会に参加してきたので、城本来の防御機能と400年以上受け継がれてきた木造建築の見どころについてレポートします!
「L」字型で総二階造りの「乾櫓」とは?
今年は「『迎撃の拠点』で格別な歴史体験を」をテーマに特別公開を実施。天守閣のように城全体を象徴する建物ではなく、敵を見張り、攻撃を防ぐ実戦的な施設としての大阪城を体感することができます。
現在公開中の「乾櫓」は、西の丸庭園の北西角に建つ櫓で、「戌亥(いぬい)」は方角で北西を意味し、西側と北側から城へ近づく敵を監視し、迎え撃つ役割を担っていました。
「大阪城は豊臣家が滅亡した「大阪の陣」ののち、徳川幕府の2代将軍徳川秀忠によって築き直され、幕府の西国支配の拠点となりました。城内には天守をはじめ、御殿・屋敷・櫓・蔵など、さまざまな建物がありましたが、明治維新の動乱にともなって起きた大火、第二次世界大戦における空襲などによりその多くが焼失しました。現在、大阪城には13の重要文化財がありますが、1620(元和6)年に築かれた乾櫓は「千貫櫓(せんがんやぐら)」とともに、現存する城内最古の建造になります」と学芸員さんが説明してくれました。
乾櫓はL字型をしているうえに、1階と2階がいずれも186.23平方メートルと同じ広さになっていて、大阪城内のほかの櫓には見られない珍しい構造だそうです。間取りは内室が3室でその城外側を幅一間の武者走りが巻くという形で、窓は北面と西面を中心に26か所もあります。
内部を歩くと、外観から想像する以上に奥行きがあります。曲がり角に立って左右を見渡すと、乾櫓が単なる物見の建物ではなく、北西方向を広く守るために設計されたことがよくわかります。
鉄砲狭間や石落としから感じる「戦う建築」
乾櫓は大手口から京橋口までの広い範囲を見渡すことができ、城の外側の南、西、北のどの方角からも望めたことから「三方正面の櫓」とも呼ばれていました。特に敵が攻め込んでくる西側と北側がよく見渡せます。西側を見ると、大阪府庁や大阪府警察本部の本庁舎などがありますが、江戸時代にも奉行所などがあったそうで、時代が変わってもその名残を感じることができます。
監視のためだけでなく、石垣を登って櫓の直下まで迫った敵を攻撃するための「石落とし」や、外の敵を攻撃するための「鉄砲狭間」や「矢狭間」も設けられています。石落としは単に石を落とすだけでなく、鉄砲を撃ち下ろすなど、足元にいる敵へ攻撃を加えるための開口部として設けられているそう。迎撃施設としての役割を伝える重要なポイントなので、見逃せませんよ!
窓から采配を振った徳川家光の気分になれる!?
内部では、太い柱や梁、桁、屋根を支える小屋組を間近で見ることができ、江戸時代初期の木造建築を立体的に観察できる点も魅力です。櫓の修理時に交換された、鯱瓦(しゃちがわら)や懸魚(げぎょ)などが保管されているのも、城マニアには嬉しいポイント!
城が軍事施設だった時代の緊張感を感じることができるのは、乾櫓特別公開ならではです。歴史に詳しくない人も、防御設備を探しながら見学すると理解しやすいですよ。
柱や梁をよく見ると、無数の傷跡が残っています。「江戸時代のものか、旧陸軍が使用していたこともあるので、どちらの時代に付いた傷かは正確にはわかりません」と学芸員さん。傷を眺めたりなでたりしていると、その時代にタイムスリップしたかのようなノスタルジックな気持ちになりました。
徳川秀忠が始めた大阪城再築。その工事が完了した数年後に3代将軍の徳川家光が大阪城を訪れました。その際、大阪・堺・奈良の町民に課していた地子(土地税)を無料にすると宣言し、乾櫓の窓から金の采配を振ったエピソードが残っています。このアピールによって、豊臣家の城下町だった大阪も、徳川幕府を認識したという舞台だったことがわかります。
そのエピソードにちなんで、今回の特別公開では、来場者が衣装を着て、采配を振る記念撮影ができるようになっています。城下町を見下ろしながら、徳川家光になった気分を味わえますよ!
ちなみに家光のほかには、江戸幕府第14代将軍・家茂も乾櫓を訪れているそうです。
全国のお城で唯一残る「焔硝蔵」にも注目!
「せっかく西の丸庭園に来たのだから、もう一つの見どころを案内します」と学芸員さんが連れてきてくれたのは、乾櫓の近くにある「焔硝蔵(えんしょうぐら)」です。
焔硝とは黒色火薬のことで、その名の通り火薬庫だった場所。江戸時代には火薬を貯蔵した櫓を焔硝蔵と呼んでいて各地の城にあったそうですが、当時の姿で残されているのは大阪城の焔硝蔵のみ! 引火防止のため、壁・床・天井を花崗岩の切り石としっくいで固めてつくられた頑丈な建物で、こうした構造の焔硝蔵で現存しているのもここだけなのだとか! 重要文化財に指定されているのも納得です。
もともとこの焔硝蔵は別の場所にありましたが、落雷で大爆発を起こしたそうで、1685(貞享2)年に新築されたそうです。蔵というと土蔵で木造建築のイメージですが、焔硝蔵は壁、天井、床を石造りとして、天井の上に土を盛り屋根部分のみ瓦を敷くため一部木材を使うという非常に珍しい構造。周囲を花崗岩にしたり、石壁を分厚くしたりと、たくさんの工夫がなされたことで、現在まで残っています。
スマホ1つで参加できるデジタルスタンプラリーも
乾櫓の特別公開と合わせて楽しみたいのが、2026年12月27日(日)まで開催中の「-大阪から天下へ!-巨城に描いた豊臣の夢 豊臣大阪城の痕跡をたどれ! デジタルスタンプラリー」。
大阪城が「豊臣兄弟ゆかりの地」であることをPRするキャンペーンの一環として行われているもので、大阪城公園内にある豊臣大阪城の関連スポット6か所をめぐってスタンプを集めると、先着5,000名にオリジナルデザインのクリアファイルがもらえます。
参加方法は、スマホでスタンプラリーサイトにアクセスするだけ。西の丸庭園や大阪城梅林、大阪城天守閣など、スタンプラリースポットの周囲が赤い円で囲われ、その範囲内に入るとデジタルスタンプが押せる仕組みとなっており、スタンプを押すと、豊臣兄弟に関する特典画像もダウンロードできます!
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通常は外観しか見られない重要文化財へ入れる夏限定の特別公開は、大阪城がこれまで歩んできた多彩で豊かな歴史に触れられる絶好の機会。乾櫓の見学と合わせて楽しんでみてはいかがでしょうか。
大阪城『乾櫓』特別公開
大阪市中央区大阪城2
公開日:2026年7月18日(土)〜8月16日(日)の土日祝
時間:10:00~16:30(チケット販売終了15:30、最終入場16:00)
料金:櫓共通券(櫓の入場料+西の丸庭園の入園料)大人900円など
※最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。
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