【べきの呪い】に縛られていませんか?|女性ヘルスケア専門看護師マリリンのおしゃべり相談室 第9回
なんとなくの不調、見過ごしていませんか?
月経のリズム、気持ちの波、ちょっとした体のサイン。
女性の毎日には、理由のわからない「ゆらぎ」がつきものです。
この連載では、企業で働く女性たちの健康を長年支えてきた産業看護師が、女性ホルモンと心と体のつながりについて、やさしく、ていねいにひも解いていきます。
「自分をもっといたわる」きっかけに、今日のお話を読んでみませんか?
仕事のやる気はあるのに、身体がついてこないとき
美恵子さんは、時々体調を崩して健康管理室にやってきます。
美恵子さん:「会議があるんですけど……しんどすぎて。少し横にならせてください」
私:「どうぞ。こちらへ。お熱はありますか? どこか痛みますか?」
美恵子さん:「とにかく横になりたいです。でも、横になりながら会議の内容だけでも聞けるので」
そう言ってイヤホンをつけると、ベッドに体を預けました。
私:「吐き気や痛み、しびれなどがあれば、すぐに教えてくださいね」
そう声をかけて、私はそっとドアを閉めました。
不調原因を探る
美恵子さんは、高学歴で期待の新人として入社した方です。
しかし体調が安定せず、急な欠勤や、通勤途中で動けなくなることもありました。
現在は、当初期待されていた業務とは違う仕事を担当しています。
この体調不良の背景には、どんな要因があるのか。
私は少しずつ探ってみることにしました。
見えにくい“原因”
生活は不規則ながら、食事はとれている様子。周囲からは「飲酒量が多い」という声もありましたが、健康診断では特に問題はありません。業務の負担も、以前より軽くなっています。
私:「何か思い当たることはありますか?」
美恵子さん:「……早めの更年期とか?」と、苦笑い。
私:「いえ、まだその可能性は低いですね。眠りはどうですか?」
美恵子さん:「あまり眠れません。夜中に目が覚めることが多くて」
私:「ずっと緊張されているからだと思いますよ。ご家族の方はご一緒にお住まいですか?」
美恵子さん:「いいえ。実家は東京で、就職を機に大阪に来て一人暮らしです。でも……一人暮らしのほうが、ずっといいんです。母とは、うまく会話ができなくて、大学時代はほとんど会話をしていませんでした。母はちょっと変わっていて……。母の理想を押し付けられて、大学も母の言う通りに決めました。でも、今はもう会いたくないし、実家にも帰りません」
私:「それは……つらい思いをされましたね。今のお部屋は、安心できる場所なんですね」
美恵子さんは、静かにうなずきました。
「べきの呪い」に気づいていますか?
こうした背景を持つ方は、決して珍しくありません。
いわゆる「条件付きの愛情」の中で育ってきたケースです。
「優秀であるべき」
「結果を出さなければならない」
「期待に応えなければ愛されない」
そんな環境の中では、ありのままの自分を認めることが難しくなります。
そしていつの間にか、【○○であるべき】という思考が、自分自身を縛るようになります。
これがいわゆる、「べきの呪い」です。あなたの中にも、残っていませんか? この“呪い”にとらわれていると、自分を信じる土台が育たず、大人になっても心が揺らぎやすくなってしまいます。
自分に、やさしい言葉をかけてあげよう!
喉が詰まるような感覚や、胸が締め付けられるようなときは、背中に空気が入るイメージで、ゆっくりと深呼吸をしてみてください。少しずつ、気持ちが落ち着いてくるはずです。
そして、自分にこう声をかけてみてください。
「なんとかなる」
この一言がきっかけとなり、頭は自然と“どうすればいいか”を探し始めます。
さらにもう一歩、こんな言葉も添えてあげてください。
「そんなに思いつめなくても大丈夫」
自分に向ける言葉は、思っている以上に、心に影響を与えています。
ありのままの自分でいい
世界には、さまざまな生き方があります。どんな人生を選ぶかは、本来、一人ひとりの自由です。どうか今のあなた自身を、「このままでいい存在だ」と認めてあげてください。その瞬間から、少しずつ、新しい一歩が動き出していくはずです。
教えてくれた人看護師マリリン
在阪企業の産業看護師として活動中
女性の健康のサポートの必然性を感じ、セミナーなど多数実施
女性医学学会認定女性ヘルスケア専門看護師 女性心身医学学会認定専門看護師
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