三大梅林「広橋梅林」で有名な奈良県下市町の広橋峠。この峠の上に建つのが『法泉寺』です。蓮如上人の感化を受けて1510年に浄土真宗に改宗したと伝わり、もとは修験道もしくは禅宗の道場であったと考えられています。
本尊・阿弥陀如来立像は同寺の記録によれば1605年に本願寺12世准如から、また御裏書きには1675年に同14世寂如からの下附されたと伝わっています。
現在の本堂は1866年の再建。1863年の天誅組の変で天誅組の本陣となった同寺は追討軍の焼き討ちに遭い、周辺の村ごとことごとく焼失しました。
しかし追討軍に与した藩と門徒の支援によりわずか3年で復興。七間四面のお堂は焼失前よりも大きな建物なんだとか。建材には周辺に生育していたさまざまな種類の木が使われたそうで、中には梨の木で作られた梁もあります。
本堂の廊下には天誅組の戦火から生き残った大太鼓が残されています。焼けただれた胴が当時の大火の様子を物語っています。ちなみに、ご本尊も難を逃れられていますよ!
また鐘楼には1689年に、大坂・堺の池田次郎金吾によって作られた梵鐘が吊るされています。西吉野賀名生(五條市)にあった後醍醐天皇行在所の菩提寺「鎮国寺」から伝わったもので、胴の四面に陰刻銘文が刻まれ、撞座の梵字等、珍しい部分が多い鐘だそうです。
195㎝と胴長の鐘は撞いたときの音色とその余韻が美しく名鐘と称えられ、また銘文に天皇の名前が刻まれていたことなどから戦時供出を免れて現在に残されています。
名称:龍臥山 法泉寺
ふりがな:りゅうがさん ほうせんじ
住所:奈良県吉野郡下市町広橋615
駐車場:付近にスペースあり
TEL:0747-52-2421
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