
〈大和高田市〉現代と調和する昔懐かしの“ヘップサンダル”/『川東履物商店』川東 宗時さん
もう一度、履物づくりを誇れる仕事に
日本有数の履物産地である奈良県。県内各地には草履や革靴、サンダルなどの製造工場やメーカーが数多く存在します。
大和高田市で工場を営む「川東履物商店」もその一つ。履物工場への資材卸として1952年に創業し、現在はヘップサンダルを主力に履物の企画製造から販売まで携わっています。
ヘップサンダルはかかと部分にベルトのないミュールタイプのサンダルのこと。映画「ローマの休日」の劇中でオードリー・ヘップバーンが同形のサンダルを履いていたことから、その名で呼ばれるようになったといわれています。
気軽に履けるご近所履きとして、長年にわたり多くの人に親しまれてきました。

そんな昔懐かしいサンダルに新しい風を吹き込むのが同店の4代目・川東宗時さん。2020年に新ブランド「HEP」を立ち上げました。

きっかけは2017年、奈良を離れていた宗時さんが帰郷し家業の手伝いを始めた頃。父と共に県内のメーカーへ挨拶回りに行った時に履物産業の厳しい現状を目の当たりにします。高齢化や人手不足、海外との価格競争などにより業界全体が下火になっていたのです。
「奈良でもいい履物が作られているんだと気づいた一方で、作り手さんたちが背中を丸くして仕事をしているように感じました。フィジカル面でもそうですが、僕にはメンタル的な部分でも下を向いているように見えました」


このことから“作り手の人たちが自分の仕事を自慢できる、誇りに思えるように”と翌年からブランドの構想に取り組みました。初めは周囲からの風当たりが強く、父からも「うまくいくはずがない」と言われたそう。
製造の協力工場探しにも苦戦。最盛期には150軒あった工場も15軒に減り、リストにあった工場に当たっては断られ、を繰り返し、なんとか賛同を得ることができました。
また製造は分業制で行われます。その一方で高齢による引退などで依頼できる職人がいないトラブルも発生しました。しかし「自分の手を動かすしかない」と一部の工程を自ら作業することで対応し、製品化にたどり着きました。

こうして誕生した「HEP」。機能性に優れた上質な素材を用いて、どこの家庭にもあった懐かしさと日常生活へ取り入れやすい気楽さを求めたシンプルなデザインに。
また流通面でも従来の靴屋や量販店ではなく、オンラインストアやセレクトショップで販売を行っています。
一方で、製造背景は従来のまま。「作り手の人たちが仕事を誇りに思えることを目的に始めたので、簡単に変えてしまっては意味がないんです」

商品は黒をメインに約10種類、サイズやデザインは従来のような紳士・婦人の別なくユニセックスで展開しています。
価格は7,000円~1万円前後と、ワゴンセールなどで見かける従来のヘップを知る人には高級なイメージもありますが、“一周回って新しい”と若者やレトロカルチャーを好む人に人気があるのだとか。
中には動物性のものを避けるヴィーガンの外国人も購入していたこともあり、上質な合皮で作られるヘップだからこその新たな発見だったそう。


HEPの人気は周辺にも好影響を与えました。「だんだんと意識が前向きに変化してきました。ある協力工場ではオンラインストアを始めたり、クラウドファンディングに取り組んだり。また取材や撮影に消極的だった人が自ら積極的に発信するようになりました」

こうして少しずつ産地としての誇りを取り戻しつつある今、次に取り組んだのは拠点づくり。祖父の代まで事務所兼居住空間だった建物をファクトリーショップ「HEP LAND」に改装しました。
「高田や広陵、御所など、葛城周辺地域はものづくりで発展してきた土地。各地の工場とも協力しながら、産地を巡る拠点にしていきたいです」


Profile
川東 宗時
KAWAHIGASHI MUNETOKI
大和高田市生まれ。
京都府の大学を卒業後、繊維商社で4年間勤務。のち海外企業への転職を経て2017年に奈良県へ帰郷。現在は川東履物商店の4代目として家業を手伝う。
2020年に主力商品のヘップサンダルを現代的にアップデートした履物ブランド「HEP」を立ち上げた。
施設情報
名称:HEP LAND
ふりがな:ヘップランド
住所:奈良県大和高田市曙町15-33
営業時間:13:00~17:00
定休日:火・木・土・日曜
アクセス:近鉄大和高田駅から徒歩23分
近鉄高田市駅から徒歩25分
JR高田駅から徒歩15分
駐車場:あり(約15台)
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