ノスタルジックな閉校跡地で栗スイーツを味わう!足立音衛門の里山ファクトリー
今年も栗の季節がやってきました! 栗と言えば、京都府福知山市に本店を構える和洋菓子専門店「足立音衛門」では昨年、福知山市で廃校となった小学校を再活用した「里山ファクトリー」をオープン!工房のほか、カフェや公園の機能も備えた足立音衛門の新施設は、一体どんなところなのでしょう!? KYOTO SIDEがお邪魔してきました。
・基本的な感染予防対策(マスクの着用・手洗い・身体的距離の確保など)を徹底してください。
・屋外の活動も慎重にしてください。
・発熱等の症状(発熱、咳、のどの痛み、息苦しさなどの症状)がある場合は、外出を控えてください。
まずは「足立音衛門」についてご紹介
栗オタクの社長による栗スイーツの名店
福知山城からほど近い場所に本店を構える足立音衛門。「家庭でお母さんが作るのと同じ方法で、子どもが安心して食べられる、お母さんの手作りの味」をモットーにケーキ作りを続けてきた栗オタクの社長・足立音衛門さんが営むスイーツの名店です。5坪の小さなケーキ屋さんから始めたお店が、今では北海道から東京、大阪をはじめ全国の百貨店にも名を連ねるほどの人気を誇っています。
なかでも、「栗のテリーヌ(写真上)」と名付けられた、どこを切っても栗が出てくるパウンドケーキは足立音衛門の代名詞的商品で、長く愛されている商品です。
今年の7月に、本店敷地内の奥にある京都府指定文化財になっている素敵な洋館が「おとえもんお城カフェ」としてオープンしました。カフェの利用に際しては、ひとり1ドリンクオーダー制で、ショップで購入したスイーツをこちらのカフェスペースでいただくこともできます。
以前、KYOTO SIDEで社長自らご登場いただき、足立音衛門のお菓子づくりのこだわりなどについてご紹介させていただいていますので、詳しくはこちらの記事をご参照ください。今や社長自ら登場されることは無いそうなので、かなり貴重な記事でもあります。
それでは、福知山が誇る栗スイーツの名店・足立音衛門が昨年10月にオープンした新施設「里山ファクトリー」をご紹介していきます!
2020年閉校の福知山市立佐賀小学校をリノベーション
小学校卒業生も従業員として活躍
明治6年(1873年)の開校以降、多くの子どもたちの学び舎として親しまれてきた福知山市立佐賀小学校ですが、令和2年(2020年)惜しまれながら閉校となりました。福知山市中心部から車で10分ほどの現・福知山市私市(きさいち)に位置する、辺り一面のどかな田園風景が広がる佐賀小学校跡地にオープンしたのが「里山ファクトリー」です。
今回、施設内を案内してくださった足立音衛門・営業ご担当の大槻亮介さん。なんと!まさにこちらの卒業生なんだとか。里山ファクトリー竣工前から足立音衛門で働いていらしたそうで、「母校がこういう形で活用されて本当にありがたい」としみじみ語ってくれました。
施設内のあちこちで見かける優しいタッチの里山ファクトリーMAPは、スタッフさんによる手描きのもの。
大槻さん以外にも、パートの方はご近所にお住まいの方も多いことから、こちらの小学校の卒業生が結構いらっしゃるそうです。地元というだけでなく、想い出深い場所で働けるという意味でも、地域の雇用促進にも繋がっているんですね。
小学校の面影がいっぱい!
「床や壁の板張り、窓のサッシなども小学校当時のまま」と大槻さん。
在校生による卒業制作物や、校長先生の教卓など、施設内の至るところに当時の面影が残ります。
ガラス張りの工房で製造工程を見える化
本店の一角に設けられた小さな工房同様、訪れたお客様に、常時製造工程を見ていただけるようにと、工房スペースはこの通りガラス張り。安心、安全をモットーにする足立音衛門らしいですね!さらに、工房に近づくと甘〜い香りが立ち込めて、その香りだけで幸せな気持ちに包まれます。里山ファクトリーでは、足立音衛門のスイーツを味覚だけでなく、視覚、そして嗅覚でも楽しむことができます。
朝早くから作業がスタートするので、午前中であればケーキの型に栗を入れたり、オーブンから出てくる様子や、どら焼きの皮を焼いている様子なども見学できるそうです(※日によって稼働していない工房もアリ)。
栗のテリーヌなど焼き菓子を製造する洋菓子工房は旧理科室、どら焼きなどを製造する和菓子工房は旧多目的教室、チョコレート工房は旧給食配膳室を使用しているんだとか。
本店とここ里山ファクトリーのショップ&カフェのみならず、全国の百貨店で販売する全商品がこの工房で作られ、ここから全国へと発送されています。
里山ファクトリーでは、この写真のように、どれだけの人の手を通ったか、チェックがされたかが見えるようになっている商品も販売されています。これぞ安心、安全の証。
里山ショップ&里山カフェで工房直送スイーツを堪能
里山ファクトリーの絶品スイーツをご紹介
旧2年生の教室だった場所が里山ショップとして生まれ変わり、栗のテリーヌなどの人気定番商品から季節限定商品などが販売されています。自宅用、進物用はもちろん、配送の依頼も可能です。
ショップスペース、カフェスペースいずれも校舎内、ウッドデッキ両方から出入りすることができます。もちろん、購入品をデッキスペースで食べてもOK!
校舎内はNGですが、きちんとマナーを守ればペット連れでもOKというのも嬉しいポイント。
ショップの隣りには、旧図書室を使用した里山カフェがあります。タルトやパウンドケーキのほか、ジェラートなど様々なスイーツがいただけます。
カフェスペースには、里山ファクトリー周辺ののどかな風景を描いた絵が飾られ、ショップの方には本店の絵が飾られています。いずれも京都の画家・上林和統(かみばやしかずのり)さんに描いていただいた作品で、社長のコレクション。
飲み物はセルフサービスでコーヒー、紅茶などから選べます(税込129円)。館内の自動販売機で、そのほかの飲み物も購入可能。
実際に私もアイスコーヒーを自分で淹れてみました。足立音衛門のロゴが可愛くデザインされた紙コップをマシンにセットし、ボタンを押すだけの簡単操作!一杯一杯マシンが豆を挽いてくれるので、フレッシュで風味豊かなコーヒーをいただけます。
使っている豆も社長厳選のこだわりの豆を使用。ほぼ原価で提供されているそうでコスパも抜群です。
里山ファクトリー&本店のショップとカフェで販売されている商品は基本的に同じだそうですが、一部ここにしかないメニューがあるとのことなので、そちらも含めてオススメ商品をご紹介します!
※記載価格は税込価格です。
甘味プレート 980円
トルコ産マローネ栗(左)と丹波栗の甘露煮(中央)、そしてフランス産イタリア栗を使ったマロングラッセ(右)と3種の栗を食べ比べ出来る甘味プレートは、里山カフェ限定メニューです。
一日限定10食の早い者勝ち!トルコの栗はそもそも渋皮がなく、日本の栗は渋皮がついているので、食感も味も全く違います。実際、私もその違いを明確に感じました。もちろん、どちらも美味。丹波栗に関しては、大きくて有名な丹波栗の中でも特別大きいものを選別しているそうで、食べ応え満点です!
さらに、丹波産の大納言小豆をふんだんに使った餡子た〜っぷりの鯛焼きは、甘味プレートでしかいただけない商品なんです。
焼きたてどら焼き 410円
里山ファクトリー限定かつ土日限定の商品がこちらのどら焼きです!!
基本的に百貨店やショップに出荷するものは袋へ入れ、封をして出荷しますが、この土日限定のどら焼きは、焼いて挟んで、そのまま店頭に並ぶので、出来たてふわふわの柔らかい触感と食感を楽しむことができます。こちらも餡子は丹波大納言小豆を使用。
日替わりカットケーキ 216円〜(1種1カット)
人気のパウンドケーキを、日替わりでカットケーキとして2種類提供。「少しお高め、ご進物&手土産用」というイメージが強く、「自分のために買う、自分が食べる」という方が少なかったという足立音衛門のスイーツを、気軽にお得にいただくことができます。
「一本丸々だと食べきれない」という方にもオススメ。カットケーキはテイクアウトも可。
「だいたい6切れで一本分くらいなんですけど、カットケーキはかなりお得です。ただ、カットしてあるので日持ちがしません。すぐにお召しいただけるのであれば、こちらがお得です」と大槻さんが裏ワザを教えてくださいました(笑)。
栗の増しマシ里山タルト 476円
その名の通り、栗いっぱいのタルト。先端の方にはチョコレートが入っていて、食感と味の変化を楽しめます。こちらの栗は、日本の栗の木を韓国に移植し、韓国で育った栗を使用しているそう。少々お高めに感じるかもしれませんが、純国産では実現しない価格設定と言えるでしょう。
里山バターかすていら 270円
里山カフェ限定商品。カフェでいただける里山バターかすていらは、鋳物の型で焼き上げているので、ショップで販売されているものとは少々異なり、カフェでしか味わえないものになっています。懐かしさ感じる風味はそのままに、よりふんわりとした食感を楽しめる一品です。
集栗夢(シュークリーム) 411円
サクサクのシュー生地に、2種のクリーム、そして大きな栗の甘露煮が丸ごと一粒入った贅沢なシュークリームです。
丹後の牧場からビンに入って届くジャージ牛乳、赤卵、讃岐和三盆糖で炊き上げたカスタードクリームと、熊本県産の栗の風味豊かなペーストを無添加安心の生クリームと合わせたマロンクリームと、厳選した素材を使用。本店では、一日60〜100個売れるという足立音衛門・人気ナンバーワン商品。私も大好きで、福知山取材の際は必ず購入して帰ります(笑)。
火菓子ーカントゥッチー 320円
本店と里山ファクトリーで販売をスタートした新商品。音衛門のパウンドケーキが進化した、上質なラスクのような焼菓子です。フランボワーズ、フロランタン、抹茶と、まずは3つの味わいが登場。
「以前は離れていた販売と製造スタッフの拠点を、里山ファクトリー創設により一箇所に集結することで、お客様との距離が近くなり、カスタマーの要望や声がダイレクトに伝わるので、新商品の開発や様々なアイデア創造にも役立っている」と大槻さん。
今後も新たな商品がここから生まれていくことでしょう。
音衛門さんの「地域貢献したい」という想いを形に
ひまわり&コスモス畑のSNS映えスポットも
「『地元に恩返しをしたい。地域貢献したい!』と常々言っている社長らしい」と、里山ファクトリー創設の意図について語る大槻さん。里山ファクトリーでは様々な形で「地域貢献」を具現化しています。
里山ファクトリーの敷地内では訪れた人が楽しめるようにと、スタッフの皆さんで手入れしたお花畑もあります。正門、道路を挟んだ向かいには立派なひまわり畑、そしてコスモス畑も。シーズン中は素敵な撮影スポットになるので、スイーツ+αの楽しみを味わうことができます。
公園として利用可能なグラウンド&お弁当持参でのんびり
裏手にある大きなグラウンドは、地域の公園として利用することができます。ちなみに、グラウンドの奥には古墳もあるんだとか。
グラウンド脇の、のどかな田園風景を見渡せる場所にはオープンテラスの東屋がつくられていて、ショップやカフェで販売されているソフトクリームやスイーツはもちろんのこと、お弁当を持ち寄って食べたり、のんびり過ごせる場所になっています。
自由にみんなが楽しむためのストリートピアノ
社長が大のピアノ好きということから、カフェスペース前の廊下にはストリートピアノを設置。里山ファクトリーではカフェスペース含め、BGMが流れておらず、ピアノの音色や虫の鳴き声、鳥のさえずりが耳を癒してくれます。実際、取材の際も、小さいお子様連れのお客様が何組か訪れていて、お子さんの弾くピアノの優しい音色が校内に響き渡っていました。
地域の人たちの交流の場に
以前は、地元の福知山の方とコミュニケーションを取れるスペースや機会があまりなかったそうですが、「もともと、学校は地域の人が集まる場所ですし、僕が子どもの頃から、夏祭りや色んなことをこの学校でしていたので、今後は色んなイベントなども企画していければと思っています。みんなが集う、交流の場にしたいですね。カフェスペースなどもできて、地元の方々にも音衛門の商品を気軽に召し上がっていただけるようになったのが嬉しいです。ここを作ることで雇用の場を増やすということにも繋がりますし、地域の方に喜んでいただける場所になったらいいな、という想いがあります」と大槻さん。
栗の美味しくなる季節、里山ファクトリーの工房直送スイーツを美味しい空気のもとで楽しんでみませんか?
■■INFORMATION■■
足立音衛門「里山ファクトリー」
福知山市私市上リ立1
電話:フリーダイヤル0120-535-400
定休日:なし
営業時間:ショップ10:00〜17:30、カフェ〜17:00
https://www.otoemon.com/satoyama-factory/
中野里美
KYOTO SIDEの取材で福知山を訪れて以来、福知山の大ファンなんですが、その理由の一つが「足立音衛門」本店の存在です。重要文化財にもなっているクラシカルな建物も素敵ですし、スイーツがどれも優しいんですよね〜。取材帰りの特急「こうのとり」車内で、初めて集栗夢を食べた時の感動は忘れられません!今回、新たな施設として「里山ファクトリー」を取材させていただきましたが、従業員の皆さんがとても自然体で仲の良さも伝わってきました。トップの人間性や理念が企業の雰囲気に反映されるんだな〜と改めて実感しました。素敵な時間をありがとうございました♪