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京都・寒天を使った宝石のような新世代和菓子!
2月16日は「寒天の日」。 2005年のこの日、テレビで寒天が健康に良いと紹介され、その後の大ブームにつながったのが由来なのだとか。また12~2月は寒天作りのシーズンでもあります。今回は「寒天の日」にちなみ、寒天を使った宝石のような和菓子「琥珀糖(こはくとう)」や「寒天菓子」をご紹介します。
※記事中の情報・金額はすべて2025年2月時点・税込表記です。
寒天の始まりは、京都?
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画像提供:フォトAC
ところで、皆さんは寒天がどうやって作られるかをご存知ですか? 寒天はテングサと呼ばれる海藻を煮詰め、その煮汁を濾して冷やし固めます。これが「ところてん」。この「ところてん」をさらに切り分けて干し、凍らせることを2週間ほど繰り返し(写真)、水分が抜けると寒天ができあがるのです。
ですから寒天作りには寒さが重要。この「寒天の日」も、寒天の一大産地である長野県茅野市の茅野商工会議所と、長野県寒天水産加工業協同組合により制定されました。
ところてんは古くから食べられていましたが、実は、寒天が誕生したのは京都市の伏見だという説があります。
京都市立伏見中学に建てられた「寒天発祥之地」の碑の駒札を読むと、18世紀後半の伏見を紹介した『伏見鑑』という書物に「元来、伏見にて作初る産物なり」と、伏見が寒天発祥の地だと書いてあるのだとか。また、伏見の御駕籠町(おかごちょう)には、寒天仲間(※組合のようなもの)が置かれていたとも記されているそうで、江戸時代の伏見で寒天が作られていたことを知ることができます。
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画像提供:フォトAC
寒天には「角寒天(棒寒天)」、細い糸のような「糸寒天」(写真)、「粉寒天」などがありますが、和菓子などでよく使われるのは、繊細な味が表現できる糸寒天。この糸寒天を煮溶かして砂糖を加えて固めたお菓子は「琥珀糖(こはくとう)」と呼ばれ、外側はシャリッ、中はゼリーのような食感。それぞれのお店ごとにシャリ感や柔らかさが異なるのも魅力です。
それでは、京都府内各地よりピックアップした寒天菓子をご紹介していきましょう。
丸い箱に美しい風景を閉じ込めた「天橋立こはく糖」
【宮津市】ベジ工房
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画像提供:ベジ工房
天橋立がある宮津市で生まれ育った川崎裕子さんが、「宮津のかわいいお土産を」と作ったのが、「天橋立こはく糖」(860円)です。
丸い箱は天橋立の智恵の輪をイメージ。その輪の中から、白砂青松(はくしゃせいしょう)と称される天橋立の松並木を覗いているようなデザインになっています。
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画像提供:ベジ工房
蓋を開けると現れるのは、このような美しい琥珀糖。海と空はシーグラスのような輝くブルー。白砂は京丹後市の琴引の塩を少しだけ加え、ほんのり塩味に。メロン味の松が天橋立を表しています。できるだけなめらかにし、ぷるぷる感が感じられるように作っていつのだとか。日持ちも製造から120日なので、天橋立観光のお土産に喜ばれること間違いなしですよ!
ベジ工房店舗の他、宮津市にある道の駅 海の京都 宮津の「宮津まごころ市(直売所)」「橋立大丸」「メルキュール京都宮津リゾート&スパ」「ローソン宮津京街道店」などでも購入できます。
■■INFORMATION■■
ベジ工房
京都府宮津市島崎2038
TEL0772-22-3717
9:00~13:00
不定休
果物のジューシーな美味しさを楽しむ「フルーツ琥珀 果乃菓」
【京都市】鶴屋光信
キラキラと輝くこの琥珀は、国産の糸寒天にブルーベリー、ストロベリー、マンゴー、キウイ、柚子と5種類のフルーツの美味しさをギュッと閉じ込めた琥珀菓子「フルーツ琥珀 果乃菓」(1,188円)です。
外側は優しいシャリシャリ感、中は程よい柔らかさ。そして「果物の御菓子」という名前の由来通り、それぞれの果物の個性やフレッシュな美味しさが口の中にふわりと広がります。
抹茶にもコーヒーや紅茶、ワインとも相性が良いですし、ソーダに入れて琥珀ポンチとして楽しむのも楽しそう!
上品な小箱入りなのでホワイトデーのお返しやプチギフトにもぴったりですよ。購入はオンラインショップで。
■■INFORMATION■■
鶴屋光信(つるやみつのぶ)
京都市西京区桂南巽町88-1
075-381-2617(10:00~18:00)
日曜・祝日休み
購入はオンラインショップから
ふんわり上品な羽二重餅と寒天を楽しむ「禿(かむろ)」
【舞鶴市】勇貫堂
舞鶴赤れんがパークにほど近い場所に立つ勇貫堂は、幕末の1857(安政4)年創業。初代舞鶴鎮守府司令長官・東郷平八郎が同店の「栗饅頭」を好んだことでも有名です。
そんな勇貫堂の寒天菓子は、平成元年1月10日という「1」続きのおめでたい日に誕生した「禿(かむろ)」(1個216円)。日本舞踊をされていた女将さんが、娘時代に踊った特別な禿の舞踊にちなんで作られたお菓子です。ちなみに禿とは吉原で花魁(おいらん)の小間使いをする小さな女の子のこと。現在の大河ドラマにも出てきますよね。包みの上にちょこんと結ばれた可愛らしい赤と緑のリボンが、まるで禿の頭飾りのよう。
味は「抹茶」(写真左)と「梅酒」(写真右)の2種類。まるで綿帽子をかぶったかのような純白の薄い羽二重餅(はぶたえもち)の優しい口当たりと、噛んだ時にプリプリとした弾力のある寒天のコントラストが上品。さらに中の小豆が良いアクセントになっています。
■■INFORMATION■■
勇貫堂(ゆうかんどう)
0773-62-0021
9:00~19:00
火曜休み
優しいシャリ感と爽やかな柚子の酸味がたまらない「琥珀糖 柚子」
【亀岡市】和菓子紀の羽
リカーショップ寿屋に併設されている和菓子店です。実はこちらの若主人夫婦が和菓子職人であることから、お店で和菓子も販売したところ評判に!
2020年より「和菓子 紀の羽(ことのは)」として、亀岡産の丹波大納言小豆や京都府の固有品種・新羽二重糯(しんはぶたえもち)、イチゴに丹波栗などを使った季節の上生菓子から気軽なお団子までを作っています。
そんな紀の羽さんの「琥珀糖」(350円)もやはり地元産の季節の素材と糸寒天で作られます。今の季節なら自家栽培柚子で作る「柚子」。表面のシャリカリとした部分は薄氷のように繊細。中はトロリととろけるよう。自家製柚子ペーストの香りと爽やさがクセになります。
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画像提供:和菓子紀の羽
また、間もなく亀岡産の紅ほっぺが出回るようになると「苺」も登場。この可愛らしいピンク色は天然の色なんですって! どちらもステキなカップに入っているのでプレゼントにもおすすめ。
店舗の他、オンラインショップ、亀岡市の「ファーマーズマーケット たわわ朝霧」や京都市南区の「イオンモール桂川」でも購入できます。
※店舗により値段が異なります
■■INFORMATION■■
和菓子紀の羽(ことのは)
京都府亀岡市南つつじが丘大葉台2丁目14-10
0771-24-8639
9:00~19:00
水曜休
Instagram https://www.instagram.com/kotobukiya_kotonoha/
月替わりの蜜が楽しみな「琥珀流し」
【京都市】大極殿本舗 六角店 栖園
創業1885(明治18)年、約140年の歴史を誇る和菓子店です。
2002年に、六角店と併設の甘味処 栖園(せいえん)を作った際に女将・芝田泰代さんが考案したのが、糸寒天を使った美しい寒天菓子の「琥珀流し」(980円)です。
「琥珀流し」は、糸寒天を固まるか固まらないかというギリギリの水分量で柔らかく炊き、四季を感じさせる上品な蜜がかけられた甘味です。
蜜は月替わりで、例えば2月なら、フランス産のカカオパウダーを練り上げたチョコートの蜜にニッキあられとメレンゲを添えた「ココア」(写真)。
3月は京都の老舗味噌店の甘酒を使った蜜に、刻みショウガ、橘(たちばな)のゼリーを添えた糀の旨みを感じる「甘酒」(写真)。
4月は八重桜の塩漬けを蜜漬けしたものと小豆を添えた「桜花」(写真)。
どれも合わせる蜜や素材のコントラストが面白く、細やかな心遣いと手間がかけられています。
例えば「桜花」なら八重桜の塩漬けの萼(がく)や葉、めしべ、おしべは全取り、塩抜きをして、出す前日に蜜に漬け、提供する直前に蜜をかけるといった具合。その仕事から、和菓子店ならではの感性が感じられます。
ちなみに大丸百貨店東側にある本店の茶房では違う味のものが出されており、2月は「カスタード」、3月は早咲きの「桜花」、4月は「はちみつ」といった具合(本店では六角店の蜜もいただけます)で、なかには2軒をはしごする方もいるのだとか。
口の中でほろりと溶けていく寒天と、季節の蜜を堪能してください。
■■INFORMATION■■
大極殿本舗 六角店 栖園(だいごくでんほんぽ ろっかくてん せいえん)
京都市中京区六角通高倉東入ル
075-221-3311
和菓子販売9:30〜18:00
栖園(甘味処)10:00〜17:00L.O.
水曜休み
職人が手作りする、琥珀専門店の「琥珀」
【京都市】京菓子司 都
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画像提供:京菓子司 都
熟練の職人が、ひとつひとつ丁寧に手仕事で作りあげる琥珀専門店です。
定番の中でも人気なのが、色とりどりの琥珀糖をランダムに切り分け、宝石のようにキラキラと輝く「寒ごおりKOHAKU」(450円)。
表面はシャリッ、中はしっとりとした柔らかい食感が特徴です。
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画像提供:京菓子司 都
こちらは鴨川の流れをイメージした「柚子琥珀」(12個入・1,296円)。
柚子果汁を含んだ透明感のある琥珀が川の流れを、柚子の果皮で川底に揺れる藻を表現。柚子の香りが爽やかな逸品です。
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画像提供:京菓子司 都
「花かずら(大納言)」(8個入・1,296円)は、大粒の北海道産大納言小豆を柔らかく炊き上げ、琥珀の中に隙間なく敷き詰めたもの。表面のシャリ感と中の小豆の柔らかさの食感が絶妙。ひかえめで上品な甘さも魅力です。
これら定番の他に、国産の桜葉粉を使った「花霞の宴」やユニークな「珈琲小豆」、「さつま芋琥珀」など季節の琥珀もあり、見逃せません。
販売は、京菓子司 都へ直接お電話、もしくは京都駅中央口の「おみやげ街道」にて 。
■■INFORMATION■■
京菓子司 都
075-611-5825
9:00~17:00
土・日曜、祝日休み
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