日本最古の招き猫伝説が京都にもあった!~檀王法林寺~
9月29日は「来る福」と縁起の良い語呂合わせから「招き猫の日」ということをご存知でしょうか。招き猫の発祥は諸説ありますが、実は京都にも「日本最古の招き猫伝説」があると聞き、その場所へお邪魔してきました。
今回は招き猫の日にあわせて、京都と招き猫にまつわるお話をご紹介します。
※記事中の情報・金額はすべて2024年9月時点・税込表記です。
珍しい神様と御使いの黒猫
「日本最古の招き猫伝説」があるのは、地元で“だんのうさん”の愛称で親しまれている京都市の「檀王法林寺(だんのうほうりんじ)」。
本堂には「主夜神(しゅやじん)」という珍しい神様が祀られており、夜を守る神様として恐怖や火災を防いでくれるご利益があります。
主夜神が初めて日本に登場したのは、1603(慶長8)年3月15日。檀王法林寺を開創した袋中(たいちゅう)上人の枕元に現れ「専修念仏の行者を擁護すべし」と告げて符を授けたのが初見と伝えられているそうです。
そして、この主夜神の御使いとして祀られているのが、不思議な神通力を持つ右手を挙げた「黒招き猫」です。主夜神を祀っているお寺は他にもあるそうですが、御使いに猫がいるのは檀王法林寺だけなのだそうです。
なぜ「黒猫」が主夜神の御使いなのかを伺ったところ、その理由は定かではないとのこと。
「想像の範囲ではありますが……」と、ご住職に教えていただいたのは、“主夜神が登場した同じ年、袋中上人が学問探求のため明(中国)に渡ろうとしたことに所以があるのではないか”ということです。
船旅ではネズミの害から食料を守る目的と、旅人の心を慰める癒しの動物として猫を乗船させていたそうです。そのことから想像すると、袋中上人は旅の間その猫を可愛がっていて、それがたまたま“黒猫”だったのかもしれないということ。
当時、豊臣秀吉の朝鮮出兵などの影響もあり、明に渡ることができなかった袋中上人は、3年間琉球(沖縄)にとどまり、浄土宗を広めながらチャンスを狙っていました。しかし、ついに願いは叶わず。帰京した袋中上人は、1611(慶長16)年に現在の場所に檀王法林寺を開創します。
その頃に「琉球から無事に帰って来られたのは、海難から守ってくれる海の神様でも主夜神様と、船旅をともに過ごした猫のおかげ」という気持ちから、主夜神と黒猫を“御使い”としてお祀りされたのではないかと考えられるそうです。また、黒猫は霊力が強いことから、主夜神の力を弱めることなく私たちに届けてくれる存在だということも教えてもらいました。
日本最古の招き猫伝説とは
主夜神の御使いである「黒招き猫」が作られた正確な年代はわかりませんが、江戸中期には「主夜神尊」の銘を刻んだ招き猫が授与されていたそうです。昭和初期に出版された民俗誌には江戸時代中期頃、檀王法林寺の黒くて右手を挙げた招き猫を模倣することを禁じるという旨が書かれており、寺社関連の招き猫としては日本最古といわれています。
主夜神は通常非公開ですが、毎年12月の第1土曜日に行われる主夜神法要で御開帳されます。参加者には主夜神尊のお札と厨子の中から見つかった江戸後期の招き猫の復刻版を授与していただけます。
全国から集まった常設展示の招き猫たち
本堂の中には全国各地の招き猫が常設展示されています。もとはご住職が集めていたものですが、20年ほど前に伊勢のおかげ横丁で行われている「来る福招き猫まつり」で檀王法林寺の招き猫が取り上げられてから、さまざまなご縁がつながり、全国から郷土玩具や作家作品が奉納されて増えていったそうです。
招き猫の横には生産地が書かれているので、各地の特徴を探りながら眺めるのも楽しいですよ。海外の招き猫などもあるのでぜひ探してみてくださいね。
こちらは映画『フラガール』に縁がある黒猫「フラねこ」です。
映画の舞台となった、福島県の常磐ハワイアンセンター(現・スパリゾートハワイアンズ)で開催された「いわきフラオンパク」の新マスコットキャラクターとして、檀王法林寺の招き猫をモチーフに作られたのだそう。イベント成功の感謝を込めて、奉納されたそうです。
ついつい欲しくなるかわいい授与品
授与所では招き猫をモチーフにした授与品がスタンバイ。お守りを身につけて「開運招福」、「災厄消除」のご利益をいただきましょう。
何匹いるのか数えたくなるほど、みっちりと体を寄せた猫たちの刺繍がかわいい「招き猫刺繍お守り」(500円)。
「招き猫」は大(15センチ/3,000円)・中(12cm/2,500円)・小(6cm/1,500円)の3種類。サイズでお顔が違います。
猫の金太郎飴が入ったおみくじ付きの「招福猫飴」(300円)。
思わず微笑んでしまう猫さんからのお告げ。語尾が「ニャ」なところが愛らしい。
小ぶりな招き猫がかわいい「お財布用招き猫」(300円)
「御朱印帳(招き猫)」(1,200円)は裏面には招き猫の後ろ姿が描かれています。色は桃色、浅蘇芳、浅葱、群青の全4色。
京都の招き猫伝説のお話はいかがでしたでしょうか?
招き猫にまつわる伝説は全国各地にあるので、みなさんの周りにもきっとあるはずです。
招き猫の日に、福を招く可愛らしい招き猫へぜひ想いを馳せてみてください。
記事協力
檀王法林寺
住所:京都市左京区川端通三条上る法林寺門前町36
TEL:075-771-0870
拝観時間:境内自由、本堂10:00~12:00、13:00~16:00 ※本堂を拝観希望の方は事前にお問い合わせください。
拝観料:境内無料、本堂300円
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