【2024】京都府内で楽しめる睡蓮と蓮の名所
初夏から盛夏にかけて、水上で咲き誇る「睡蓮(スイレン)」と「蓮(ハス)」。どちらも日本で古くから親しまれており、午前中の涼しい時間帯に花を咲かせ午後には閉じてしまいます。今回は京都府内の睡蓮&蓮の観賞スポットをご紹介します。早朝の清々しい空気を感じながら、美しい花を見に行きませんか?
睡蓮(スイレン)と蓮(ハス)ってどう違うの?
睡蓮と蓮はどちらも水辺で育つ水生植物で、姿かたちもよく似ていますが、実はそれぞれ違う植物です。スイレン科スイレン属の睡蓮は、光沢と切れ込みのある葉を持ち、花が水面に浮かんでいるように咲くのが特徴。日中に花を咲かせて午後には閉じてしまいます。一方、ハス科ハス属の蓮は、葉に光沢や切れ込みがなく、水面よりも高い位置で花が咲きます。早朝からゆっくりと咲き始め、お昼頃には花を閉じてしまうのが特徴です。
どちらも品種改良によって花の色や大きさの違ったものが増えていますが、基本的な違いを押さえておくと簡単に見分けることができますよ。
モネの名画のような睡蓮が咲く風景
【京都市】大原野神社
見頃:睡蓮 6月頃
大原野神社は桓武天皇が長岡京へ遷都した折、藤原氏の氏神である奈良の春日大社の祭神を分祀したことが創建と伝わる神社。紫式部が氏神として信仰していたことでも知られています。参道の途中にある鯉沢池では、5月中旬から8月下旬にかけて美しい白い睡蓮の花を見ることができます。
鯉沢池にかかるアーチ状の橋と、一面に広がる睡蓮の風景がクロード・モネの名画「睡蓮の池と日本の橋」を連想させることから、知る人ぞ知る睡蓮の観賞スポット。池の周辺はぐるりと一周できるので、ゆっくりと散策しながら楽しんでくださいね。
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
大原野神社
京都市西京区大原野南春日町1152
TEL:075-331-0014
拝観時間:拝観自由
拝観料金:無料
交通アクセス:JR向日町駅または阪急東向日駅から阪急バス「南春日町」下車、山の方へ向かって徒歩約8分/阪急桂駅から京都市バス「南春日町」下車、山の方へ向かって徒歩約8分
駐車場:あり(普通車 入庫後20分無料、以後30分200円。4時間最大600円繰り返し)
HP:https://oharano-jinja.jp/
まるで極楽浄土に咲く蓮のような光景を愛でる
【京都市】法金剛院
見頃:蓮 7月上旬〜7月下旬
「関西花の寺二十五ヵ所」の第13番札所としても知られる法金剛院。通称「蓮の寺」と呼ばれ、5月下旬から8月にかけて大賀蓮やバージニア蓮、アオバスなど約90種類の蓮の花が次々に咲き誇ります。境内には浄土式庭園があり、この庭園にちなんで極楽浄土に咲くといわれる青、黄、赤、白色の4色の蓮の花が集められています。庭園の苑池を埋め尽くすほどに生育した蓮や、礼堂前に並ぶ120もの鉢植えに咲く蓮の光景はまさに極楽浄土。
7月6日(土)からは「観蓮会」が開かれ、朝の7:30から開門されます。開催期間は3週間ほどあるので、早朝の爽やかな空気の中で蓮の花を楽しんでくださいね。蓮は淀んだ水の上でも美しい花を咲かせることから、仏教の教えの象徴ともいわれています。法金剛院を訪れる際は、まずはご本尊・阿弥陀如来(国宝)様にお参りしてから、蓮の花を観賞してくださいね。
<周辺立ち寄りスポット>
◉観蓮会
日時:7月6日(土)〜7月28日(日) 7:30〜12:30(受付終了12:00)
■■INFORMATION■■
法金剛院
住所:京都市右京区花園扇野町49
TEL:075-461-9428
時間:現在(2024年6月)、通常拝観は毎月15日の9:00~16:30(受付終了16:00)のみ。観蓮会の期間中は7:30〜12:30(受付終了12:00)。その他、開催される特別拝観の参拝時間についてはHPをご参照ください。
拝観料:500円
交通アクセス:JR嵯峨野山陰線「花園」駅下車徒歩約2〜3分
HP:http://houkongouin.com/
かつての蓮の名所「巨椋池」ゆかりの蓮を展示
【宇治市】宇治市植物公園
見頃:睡蓮 6月上旬〜9月中旬 / 蓮6月下旬〜7月中旬
約20品種の睡蓮と約170品種の蓮を楽しむことができる「宇治市植物公園」。それぞれの花が別の種と交配しないように、品種ごとに鉢の中で育てられています。鉢ごとに名札も付けられているので、間近で花の名前を確認しながらじっくりと観察できます。
なかでも蓮の花は、時間の経過とともに花の色が変化する「巨椋の曙(おぐらのあけぼの)」や、花弁の多さが印象的な「請所の本紅(うけしょのほんべに)」など、昭和初期の干拓で消滅した蓮の名所「巨椋池」由来の品種が約80種類も含まれています。そのうちの81品種は2023年に日本植物園協会の「ナショナルコレクション」に再認定された希少品種です。
今年(2024年)は蓮の見頃に合わせて下記のイベントも予定されています。
◉観蓮会と象鼻杯(※)
日時:7月13日(土)〜15日(月)7:00〜9:00
内容:7:30〜蓮の案内、見どころ紹介/8:00〜象鼻杯
定員:観蓮会は参加自由、象鼻杯は各日先着30名
料金:観蓮会は無料(入園料のみ)、象鼻杯100円(ミネラルウォーターの場合は50円)
※象鼻杯(ぞうびはい)とは、蓮の葉をロウト状にして高く掲げ、そこにお酒を注いで飲む、古代中国由来の風習。その様子が、象が鼻を上げている姿に似ていることから、その名が付いたといわれています。
また、園内の修景池では「京都府レッドデータブック2015」で絶滅危惧種に指定されている、黄色い小さな花が可愛らしい「アサザ」も見ることができるので、ぜひ一緒に楽しんでくださいね。
<周辺立ち寄りスポット>
・京都府立山城総合運動公園
・ボウケンノモリ 太陽が丘店
■■INFORMATION■■
宇治市植物公園
住所:京都府宇治市広野町八軒屋谷25-1
TEL:0774-39-9387
開園時間:9:00〜17:00(16:00受付終了)
入園料:大人600円、小・中学生300円、幼児無料
休園日:月曜(祝日の場合は翌日休園)、12月28日〜1月4日
交通アクセス:京阪「宇治」駅下車・JR奈良線「宇治」駅下車、京都京阪バス240・240A・250・250A系統「近鉄大久保」行き、「植物公園」停留所下車すぐ
駐車場:あり(普通400円/大型1500円)
HP:https://uji-citypark.jp/botanical/
水上橋を散策しながら愛でる睡蓮と蓮
【長岡京市】長岡天満宮 八条ヶ池
見頃:睡蓮 6月中旬〜8月中旬 / 蓮 7月中旬
長岡天満宮境内の東側に広がる「八条ヶ池」は、1638(寛永15)年、桂離宮を造営した八条宮智忠親王によって築造されました。さまざまな水生植物が集う西池には、例年5月下旬から10月にかけて睡蓮が咲き、水面に可憐な姿を映し出します。
睡蓮よりも少し遅れて咲き始める、まるんっとしたフォルムがかわいい蓮は「西湖紅蓮(さいここうれん)」という品種。長岡京市の友好都市・中国浙江省寧波市から贈られた当初は約150株でしたが、現在では約300株ほどに増えています。
八条ヶ池を彩る睡蓮と蓮のロマンチックな花畑は、早朝が狙い目です。ただし、西池に向かう水上橋の通行は朝7時からとなるのでお気を付けくださいね。
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
長岡天満宮 八条ヶ池
住所:京都府長岡京市天神2丁目地内
TEL:075-955-9515(長岡京市役所商工観光課)
水上橋のゲートの開閉時間:4〜9月は7:00〜18:00
交通アクセス:阪急「長岡天神」駅から徒歩約10分
駐車場:境内にコインPあり
初夏の心地よい風を感じながら睡蓮&蓮を満喫
【精華町】けいはんな記念公園
見頃:睡蓮 6月下旬 / 蓮7月中旬~下旬
関西文化学術研究都市の建設を記念して整備され、1995(平成7)年に開園した「けいはんな記念公園」。有料エリアの回遊式庭園「水景園」は、南山城地域の里の風景をイメージして作られており、長さ123mの観月橋や遊歩道から四季折々の景色を楽しむことができます。
5月から8月にかけては、棚田状の水盤が広がる「水景棚」の一角に、白とピンクのかわいい睡蓮の花が代わる代わる咲き始めます。
また、小さな区画で管理されてはいますが、睡蓮の隣の水盤には7月下旬から蓮の花もお目見え。水景棚は沢飛石を歩いて渡ることができるので、水音や初夏の心地よい風を感じながら、睡蓮や蓮の花を満喫してくださいね。
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
けいはんな記念公園
住所:京都府相楽郡精華町精華台6-1
TEL:0774-93-1200
開園時間:9:00〜17:00(16:30受付終了)
入園料:一般200円、小・中学生100円、未就学児無料/60歳以上は証明書提示で無料
休園日:年末年始(ほか臨時休園あり)
交通アクセス:JR「祝園」駅、近鉄「新祝園」駅より奈良交通バス56系統(学研奈良登美ヶ丘駅行きなど)乗車、「けいはんな記念公園」もしくは「公園東通り」停留所下車、徒歩約9分
駐車場:あり(普通400円/大型1500円)
※その他のアクセス方法は下記のアドレスからご確認ください。
https://keihanna-park.net/access/
HP:https://keihanna-park.net/
一面に広がる蓮の花と京都府内唯一のオニバスの自生地
【亀岡市】平の沢池
見頃:蓮 7月上旬〜8月上旬 / オニバス8月
上池・中池・下池の3つの池からなる亀岡市の「平の沢池」は、希少な水生植物の住む池として、また渡り鳥の飛来地としてもよく知られています。
下池の東側(平の沢交差点北東側)に蓮が密集しており、毎年7月から8月にかけては一面蓮の花づくしに。池を縦断する「水鳥のみち」からは迫力ある全景が眺められ、遊歩道に下りて間近で楽しむこともできます。
中池では京都府内でこちらの池だけに自生している、蓮に似たスイレン科の「オニバス」を見ることができます。オニバスは絶滅が危惧されている水生植物で、全体が鋭く硬いトゲに覆われているのが特徴です。早朝に赤紫色の花を咲かせ、午後には閉じ、2〜3日の間に水中に沈んでいきます。芽吹いても水温や風の状況によって花が咲かない年もあるので、開花情報についてはJR亀岡駅観光案内所にお問合わせください。
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
平の沢池
住所:京都府亀岡市馬路町
TEL:0771-22-0691(JR亀岡駅観光案内所)
時間:見学自由
交通アクセス:JR嵯峨野線「亀岡」駅から亀岡ふるさとバスで「池尻」停留所下車徒歩1分、京都縦貫自動車道「千代川」ICから車で約8分
駐車場:あり
日本の古来種「大賀ハス」が咲く蓮池
【綾部市】極楽寺
綾部市白道路(はそうじ)町にある極楽寺は、とても珍しく貴重な日本の古来種「大賀(おおが)ハス」で有名なお寺。大賀ハスは、1951(昭和26)年に千葉市検見川で故・大賀一郎博士が古代ハスの三粒の種を発見し、そのうちの一粒から増やされたものだといわれています。
発見の翌年には見事に花を咲かせ、2000年の眠りから目覚めた蓮に、生物の奇跡として世界中が驚きました。さらに翌28年にはドイツの国際園芸博覧会でも開花。「大賀ハス」と名付けられ、国際的にも認められた希少な品種です。その後、千葉県が所持していた種数粒が極楽寺に寄進され、毎年大輪の花を咲かせています。
<周辺立ち寄りスポット>
・楞厳寺
■■INFORMATION■■
極楽寺
住所:京都府綾部市白道路町鎌倉田34
TEL:090-1585-0633(平田さん)※お寺の総代さん
時間:見学自由
交通アクセス:JR山陰線「綾部」駅から車で約15分、京都縦貫自動車道「綾部」ICから車で約10分
駐車場:あり(普通車10台)※法要など催事で混み合う場合があります
自然に溶け込む美しい蓮園
【綾部市】楞厳寺(りょうごんじ)
見頃:蓮 7月中旬〜8月上旬
「関西花の寺二十五ヵ所」の第2番札所として知られる「楞厳寺」。春のミツバツツジに続き、夏は白やピンクの蓮の花が境内を美しく彩ります。およそ100年前に檀家さんによって数株の蓮が植えられたのが蓮園の始まりで、一時は原因不明のまま全滅してしまいましたが、2012年に檀家さんが新しく苗を植え付け、より多くの種類を楽しめるようになりました。
蓮園を取り囲む畦道にも入ることができ、自然の中に溶け込んだ蓮の美しさを間近で観賞することができます。四方全体をめぐりながら、お気に入りのビューポイントを探してみてくださいね。
ちなみに、楞厳寺から車で5分ほどの距離にある「綾部ふれあい牧場」は、蓮とほぼ同じ時期に花を咲かせるひまわりの名所です。水辺でしっとりと咲く蓮と、太陽の下で朗らかに咲くひまわり。2か所をめぐって、夏の花を満喫してみてはいかがでしょう。
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
楞厳寺(りょうごんじ)
住所:京都府綾部市舘町楞厳寺6
TEL:0773-47-0043
時間:見学自由
交通アクセス:JR山陰線「綾部」駅から車で約15分、京都縦貫自動車道「綾部」ICから車で約10分
駐車場:あり(普通車30台)
遊歩道を歩きながら多彩な睡蓮と蓮を鑑賞
【宮津市】水生動植物公園 花蓮の里
見頃:睡蓮7月~8月/蓮7月下旬~8月
宮津市北部の日ヶ谷(ひがたに)地区にある「水生動植物公園 花蓮の里」は、地区住民によって維持管理されている自然豊かな公園です。
もともと休耕地だった土地を整備して蓮を植えたことが始まりだという園内には、約15種類300株の睡蓮と、約35種類2000株の蓮が植えられています。
池の間には遊歩道が整備されており、すぐそばで花を観賞できるのも嬉しいポイントです。なかには約2000年前(縄文時代)の地層から発掘された種を育成した希少な品種「大賀ハス」の姿もあります。
毎年、見頃の時期には地元の人だけでなく京阪神から約400人ほどの人々が訪れるそう。今年は蓮の見頃に合わせて、音楽や地元グルメも楽しめる「観蓮会」が開かれる予定です。
◉観蓮会
日時:7月下旬(予定)
内容:飲食コーナー、演奏会など(予定)
料金:入場無料
※小雨決行(荒天時は予告なく中止あり)
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
水生動植物公園 花蓮の里
住所:京都府宮津市日ヶ谷5126
TEL:0772-27-1911(花蓮の里同好会 土井さん)
時間:見学自由
交通アクセス:京都縦貫自動車道「与謝天橋立」ICから車で約30分
駐車場:あり
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