TOP ローカル 京都 “京都のお伊勢さん” 天橋立にある元伊勢・籠神社と海の京都の葵祭

“京都のお伊勢さん” 天橋立にある元伊勢・籠神社と海の京都の葵祭

2019.04.03

平成の次の元号が「令和」に決まりましたね!新しい時代のはじまりが近づいています。皇室とも縁深い伊勢神宮は皆さんご存知かと思いますが、「元伊勢」と呼ばれる神社が、京都府宮津市にあることをご存知ですか?

天橋立で有名な宮津市の丹後半島に鎮座する籠神社(このじんじゃ)は「元伊勢」と称され、毎年4月24日には「葵祭」が行われます。
「え、京都なのに伊勢?」「宮津市で葵祭って、どういうこと?」。今日はこの謎に迫ります!

今年、創建1300年を数える籠神社

f:id:kyotoside_writer:20190401122128j:plain天橋立の府中側の付け根に立つ、籠神社(このじんじゃ)。その歴史は古く、ちょうど今年で1300年を迎える古社です。ご祭神は天照大神(アマテラスオオカミ)の孫・彦火明命(ヒコホアカリノミコト)。「籠」という珍しい名の由来は、彦火明命が竹で編んだ籠船に乗って海神の宮に行ったという故事から名付けられました。

その籠神社が元伊勢と呼ばれる理由は、どこにあるのでしょうか。その謎をひも解くのが、奥宮の眞名井神社(まないじんじゃ)にあります。

 

3000年以上前から、鎮座する奥宮「眞名井神社」

f:id:kyotoside_writer:20190401122528j:plain

眞名井神社

眞名井神社の歴史はとても古く、その信仰は3000年以上前。ご祭神は産業、衣食住の神様・豊受大神(トヨウケオオカミ)なのですが、こちらに今から2000年前、天照大神が移って来られ、4年間、豊受大神と共にお祀りされます。その後、天照大神は20数か所巡幸され、現在の伊勢神宮(三重県伊勢市)の内宮に鎮まることになりました。

そこから500年後、今度は天照大神が豊受大神に伊勢に来てほしいと呼び寄せ、伊勢神宮の外宮にお鎮まりになります。そして、さらに200年後、眞名井神社の麓に新しく籠神社を建て、天照大神の孫・彦火明命をお祀りすることになったのだそうです。

「元伊勢」というのは、天照大神が伊勢神宮へ遷(うつ)る以前に祀られた伝承を持つ神社・場所のこと。ですから、まさにこの眞名井神社は元伊勢というわけです。う~ん、すごい歴史を感じます。

 

f:id:kyotoside_writer:20190401125006j:plain籠神社本殿の高欄上には、伊勢神宮と籠神社にのみ配されるという「五色の座玉(すえたま)」が輝いています。こちら、要チェックですよ~!

 

奥宮は古代から続くパワースポット

f:id:kyotoside_writer:20190401122946j:plainそれでは奥宮へ行ってみましょう。籠神社から少し奥まった山の中に立つ奥宮は樹々に包まれ、立っているとパワーが湧いてくる気がします。

 

f:id:kyotoside_writer:20190401123052j:plain

社殿の裏には磐座(いわくら)があります。磐座とは神様が宿る石のこと。境内からは縄文時代の石斧(いしおの)や、弥生時代の勾玉(まがたま)などが出土しているそうで、古代から神聖な場所だったことが伺えます。

 

f:id:kyotoside_writer:20190401123151j:plainまた、神社の前には御神水「天の眞名井の水」がコンコンと湧いています。汲んで帰ることもできますよ。

 

海の京都で見る「葵祭」

冠などに藤の花をつけています

ところで籠神社では毎年、4月24日に「葵祭」が行われます。「え? 宮津市で葵祭?」 と思われた方もいらっしゃるのでは? 実はその歴史は古く、はじまりは紀元前507年。当初は「藤祭」と呼ばれていましたが、下鴨神社と上賀茂神社で行われる「賀茂祭」が「葵祭」と呼ばれることになったことから、こちらも名を変えたと言われています。

ゆえに下鴨・上賀茂神社で行われる葵祭の行列に連なる人々は葵の葉をつけますが、こちらは藤の花をつけるのが決まりなんですよ。

丹後特有の奉納神事も見どころ

f:id:kyotoside_writer:20190401123513j:plain

笹ばやし

そしてこのお祭り、丹後特有の芸能・太刀振り(たちふり)に笹ばやし、神楽、大神楽、大獅子など、地元の人々による奉納神事がとっても面白いので、ぜひ現地で御覧になってくださいね。

f:id:kyotoside_writer:20190401123551j:plain

大神楽

f:id:kyotoside_writer:20190401123858j:plain

神楽

まず、朝9時頃、神輿の出発を前に道を清めるため神楽が行われます。そして9時40分頃、祭の知らせを告げる一番太鼓が打たれ、10時から本殿にて祭典が行われます。祭典の要となるのは五穀豊穣や大漁祈願、万物の平和を祈ると共に、祭神の再誕・再生を示す「御生れ神事(みあれしんじ)」。

 

f:id:kyotoside_writer:20190401123941j:plain

太刀振り

本殿で祭典が行われている間も、境内では奉納神事が行われており、境内のあちらこちらで太刀振りや神楽、笹ばやしなどが繰り広げられます。

奉納神事の中でも太刀振りは勇壮で目をひきます。参加するのは子供から青年までで、襦袢(じゅばん)にたすき掛け、タッツケ袴を履いて、白ハチマキ、手甲(てっこう)、白足袋、草履ばきというスタイル。お囃子に合わせ、白紙を細く切ったシデで棒の両端を飾り、先端に刀を付けた太刀を振るのですが、これがとてもカッコイイんですよ!!  

本宮御鎮座1300年を記念し、60年ぶりに大神輿が復活!

f:id:kyotoside_writer:20190401124035j:plain

祭典が終わると神様を神輿に乗せて行列する神幸祭が行われます。実は今年、本宮(籠神社)鎮座1300年を記念し、大神輿(上記写真)が復活するんですって!

 

f:id:kyotoside_writer:20190401124048j:plain以前は大神輿を担いでいましたが、担ぎ手不足などから、小型の鳳輦(ほうれん)に代行されていました(上記写真)。それが今年、修復・復活するそうなんです。これは見ものですね!

 

f:id:kyotoside_writer:20190401124125j:plain道中でもさまざまな芸能が行われますが見どころは「縄手振り」。一列に並び同じ所作で太刀を振る様子は圧巻です(写真は籠神社の境内で行われている縄手振り)。

 

f:id:kyotoside_writer:20190401124211j:plain巡幸が終わり、午後1時頃に神輿が帰ってくると還幸祭がはじまります。神輿が社殿の周りを一周し、神様の御霊(みたま)が本殿へ移され、神事が行われます。その頃、神門前でも奉納神事が行われます。ここでの見どころは、大きくジャンプをして本太刀を飛び越える所作。これは選ばれた人しかできないんですって。より高く飛ぶ方が良いそうで、「よう跳ぶもっと跳べ!」と声がかかるそうですよ。

f:id:kyotoside_writer:20190401124245j:plain

葵祭の時だけ授与される「御生れ守」

さて、海の京都で行われる「葵祭」。歴史が深く、奉納神事もとても興味深いものばかりですね。まだまだいろんな見せ場がありますし、再誕する神様のお力が籠(こ)められた「御生れ守」は、葵祭の日だけ特別に授与されるそうですよ。今年は4月24日(水)に行われます。改元まであとわずか! 籠神社で行われる平成最後の「葵祭」に出かけてみてはいかがでしょう。

 

丹後一の宮 籠神社 

京都府宮津市字大垣430
℡ 0772-27-0006
開門時間:7:00~17:00

 

 

Recommend あなたにおすすめ