『十二柱神社』は奈良県桜井市の旧 初瀬街道(伊勢街道)沿いに鎮座する神社。出雲集落の氏神様で旧村社でもありました。
創建年は不明ですが、大昔は神殿がなく、ここから1.7㎞ほど山手へ上がった『ダンノダイラ』と呼ばれる場所にあった磐座をご神体としていたそう。
明治のはじめ頃までは、年に一度、出雲集落の全村民がダンノダイラへ登拝する風習があったそうですが、現在には残っていません。
ちなみにダンノダイラには古代に出雲国(島根県)から出雲族が移り住んだと言われており、このことから「出雲」の地名がついたそうです。
御祭神は、神世七代と地神五代の神々。合わせて十二柱の神を祀ります。神世七代は天地開闢の際に別天津神の次に現れた七代十一柱の神々を指し、初めの三柱を一人神、その後は二柱で一対の神として扱います。
【神世七代の神々】※『日本書紀』による
・国常立神(クニノトコタチ)
・国狭槌神(クニノサヅチ)
・豊斟渟神(トヨクモヌ)
・泥土煮神(ウヒジニ)・沙土煮神(サヒジニ)
・大戸之道神(オホトノジ)・大苫辺神(オホトマベ)
・面足神(オモダル)・惶根神(カシコネ)
・伊邪諾神(イザナギ)・伊邪冉神(イザナミ)
また地神五代は、天神七代(神世七代)と人皇(天皇)の間の五柱の神を指します。
【地神五代の神々】
・天照大神(アマテラスオオミカミ)
・天忍穂耳尊(アメノオシホミミ)
・瓊瓊杵尊(ニニギ)
・彦火火出見尊(ヒコホホデミ)
・彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ヒコナギタケウガヤフキアエズ)
野見宿禰(のみのすくね)は第11代垂仁天皇の時代に當麻蹴速(たいまのけはや)と日本最初の天覧相撲を行い勝利した人物で、相撲の神様として知られています。
出雲集落は野見宿禰が住んでいた場所とも伝わり、境内の外れには明治16年の農地整理で移設された野見宿禰の供養五輪塔が建っています。
五輪塔は鎌倉時代の作で、高さおよそ2.85mは県内2番目の大きさを誇ります。四面に単独梵字仏、地輪に一字一切経が納められています。
この相撲伝説にちなんで、ミニ力士が土台を支える狛犬が鳥居の両脇に奉納されています。
狛犬は文久元年(1861)のもので、土師氏の作と伝わります。土師氏の祖は野見宿禰と言われているので、ご先祖様への信仰が続いている証ですね!
ミニ力士は土台の四隅に一体ずつ、全部で8人います。それぞれに顔や形が違うので、推しを探してみてください♪
また神社には「暴君」の逸話で知られる第25代武烈天皇の『泊瀬列城宮』があったという伝承も残り、境内には武烈天皇神社が鎮座しています。
武烈天皇を悪逆非道な暴君説話は、武烈系統の王権が断絶し、北陸から来た継体天皇による新政権が打ち立てられたことを暗に示しているとする学説もあります。
前王権の宮だったとして、その場所が出雲族の住まう地だなんて、妄想が止まりませんね…
名称:十二柱神社
ふりがな:じゅうにはしらじんじゃ
住所:桜井市出雲650
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