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五感で楽しむ旅へ! エンタメ感満載の嵯峨野トロッコ列車大解剖

2023.07.18

画像提供:嵯峨野観光鉄道

京都市右京区嵯峨野と亀岡市を繋ぐ嵯峨野トロッコ列車は、保津川の絶景や四季折々の風景をのんびり楽しむことができる観光列車です。素晴らしいのは景色だけでなく、運転士さんやスタッフの方々のおもてなしの数々。そして始発駅のトロッコ嵯峨野駅も見どころたっぶりです。
今回は、エンターテイメントな魅力たっぷりの嵯峨野トロッコ列車を大解剖していきます。

嵯峨野トロッコ列車とは

画像提供:嵯峨野観光鉄道

嵯峨野トロッコ列車は、トロッコ嵯峨駅からトロッコ亀岡駅までの全長7.3kmを結ぶ観光列車。保津川の渓谷沿いをちょっと早い自転車ぐらいのスピードで走るので、窓から四季折々の景色をのんびり楽しむことができます。


座席は全車指定席。車輌は木製椅子と裸電球があるレトロな4両(写真左)と、オープン車両の「リッチ号(写真右)」が1両という5両編成が基本。中でも窓ガラスが無く、風や光を肌で感じることができる「リッチ号」はとっても人気です。
※ただし雨天の場合は雨に濡れることがあるので要注意!

 
チケットは、トロッコ列車各駅(トロッコ保津峡駅以外)の窓口で買うこともできますが、当日の窓口は混雑&完売していることもあるので、事前に席を予約・購入するのがおすすめ。さらにリッチ号は人気のため席が無くなることも多く、予約がベターです。
詳しい購入方法はこちらへ→ https://www.sagano-kanko.co.jp/reserve.php

五感をフルに使って楽しむエンタメ列車旅


それでは、トロッコの列車旅に行きましょう~!  トロッコ嵯峨駅はJR嵯峨嵐山駅を降りてすぐ目の前にあります。JR京都駅から嵯峨嵐山駅までは各停で16分なので、京都駅からあっという間にトロッコ列車に乗れるのが嬉しいですね。
改札口を出てホームへ行くと、クラシカルな色合いのディーゼル機関車がお出迎え。今からこの列車でミニトリップをするのかと思うと気分が盛り上がります。

さあ、予約していたリッチ号へ乗り込みます。
駅員さんに伺うと、行きは前半が進行方向に向かって左側、後半は右側の眺めが良いということなので、行き帰り共に進行方向に向かって左側の席を予約しました。駅員さんたちのお手振りのお見送りを受けて、いざ、出発!


駅を出ると早速、ディーゼル音に加え、機関車のゴトンッゴトンッ! という大きな音と振動が。椅子が木製なので、余計に振動を感じます。
これは「風を感じ、音に耳を傾け、五感を使って楽しんでほしい」という創業当時の思いからなのだとか。
ちょっぴり不便だけれど、心地良い音や振動、頬をなでる風が非日常へと誘ってくれます。


トロッコ嵐山駅の手前まではJR嵯峨野線を走っていきます。道中、列車は古いレンガ積みの「亀山トンネル」へ。見上げるとヨーロッパのお城のような素敵なトンネルです。
聞けば明治時代の京都鉄道の頃に造られたものなのだとか。嵯峨野トロッコ列車は旧山陰本線を利用しているのですが、その前身は京都鉄道という私鉄だったのです。沿線ではこのような古いトンネルが8つもあるそうで、こちらも楽しみ!(京都鉄道、嵯峨野トロッコ列車の歴史についてはこちらへ


窓がないので、ひんやりとしたトンネルの冷気が伝わってきます。古いレンガが間近に見えて、レンガ好き、トンネル好きにはたまらない空間です。

社員みんなでおもてなし


トンネルを抜けると視界は一転。保津川の渓谷と嵐山の風光明媚な風景が広がります。木々の間から見える保津川やゆっくり走る屋形船、向こう岸には嵐山の山並みが見え隠れし、旅情感たっぷりです。
実はこれらの樹々の剪定を行っているのは、運転士さんや車掌さん。毎日走っているからこそ分かる絶景ポイントや、どの木を剪定したら景色が美しく見えるかなどを考えながら沿線の整備をしているそう。
まさに、おもてなしの心が車窓の景色に詰まっています。

画像提供:嵯峨野観光鉄道

しかも春と秋には沿線のライトアップが行われるのですが、 これらの設置も運転士さんや車掌さんの手で行われているんですって!

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お客さんに楽しんでほしいといえば、スタッフの方々のお見送りや(業務の都合でお見送りできない場合もあり)、車掌さんによる車内アナウンスも有名です。
アナウンスの内容は車掌さんによって異なり、中には歌を披露してくださる方もいるんですって。今日はどの車掌さんかな? なんて楽しみにするのも面白いかも。
社員のみなさん、それぞれの個性を活かしたおもてなしに感動です。

風を感じながら保津峡の絶景を堪能する

画像提供:嵯峨野観光鉄道

さて、車掌さんのアナウンスを聞きながら景色を楽しんでいると、目の前に緑色のトラス橋、JR嵯峨野線の第一保津川橋梁が見えてきました。列車は橋の下をくぐり、さらに保津川沿いを進んでいきます。


上を見上げるとこんな感じ。リッチ号は、天井が透明になっているので、見上げると青もみじがキレイ! 

画像提供:嵯峨野観光鉄道

「清滝トンネル」を抜けると、秘境駅としても知られるトロッコ保津峡駅へ到着しました。カリヨンの美しい音色と信楽焼のタヌキたちが出迎えてくれます。
駅から保津川に架かる吊り橋の「鵜飼橋」を渡り、JR保津峡駅までの約1キロの道は気軽なハイキングコースなっているのだとか。さらに進めば柚子で有名な水尾の里へ行くことができるんですって。今度、下車をして散策してみたいなあ。

画像提供:嵯峨野観光鉄道

さて、最後に現れる500メートルの長い「朝日トンネル」を抜けると、今までとはまた違う壮大なパノラマが広がります。ここは昔、お殿様が魚釣りを楽しまれたということから「殿の漁場」と呼ばれるエリア。写真はちょうど紅葉の頃のものですが、素晴らしい絶景が広がります。

画像提供:嵯峨野観光鉄道

保津川の流れがゆったりになってくると最後の絶景スポット「桜のトンネル」です。桜の季節はえも言えぬ美しさ。終点のトロッコ亀岡駅に到着しても、風の気持ちよさとトロッコの音や振動、目の前に広がる絶景の素晴らしさの余韻に浸って降りたくない~。もう一度、乗りたい!! となったので、帰りの切符を取っておいてよかった~!

始まりは明治時代に造られた私鉄「京都鉄道」だった?!


ところで先ほど、嵯峨野観光鉄道の前身である旧山陰線、京都鉄道のことについて触れましたが、ここで改めて嵯峨野トロッコ列車の歴史を紐解くことにいたしましょう。
京都鉄道会社が作られたのは1893(明治26)年。亀岡市の実業家・田中源太郎氏らが発起人となり、京都駅⇔舞鶴駅間に鉄道を通すべく私鉄として発足しました。田中源太郎氏といえば亀岡市の洋館・楽々荘(現:がんこ京都 亀岡 楽々荘)を建てた人物であり、当時の京都政財界の立役者だった方でもあります。
(写真:京都鉄道の旧二条駅舎。当時は京都鉄道の本社屋も兼ねていました。現在は京都鉄道博物館の資料館とミュージアムショップが併設されています

明治時代の鉄道について紹介した、こちらの記事もどうぞ ↓ ↓ ↓
廃線跡を行く―明治時代に9年間だけ走ったレトロな大仏鉄道を巡る旅
改良を重ね現代に息づく―明治時代に造られた「関西本線木津川橋梁」

画像提供:嵯峨野観光鉄道

工事がスタートし、線路が敷かれていきましたが、特に現在、トロッコ列車が走っている嵯峨野⇔亀岡間は、保津峡の景観を損ねることがないよう川沿いの断崖に築かれたため、超が付くほどの難工事だったのだとか。
苦労の末、1900(明治33)年に京都⇔園部間が開通しますが、1907(明治407)年に国鉄に、その後、JR西日本となります。しかし1989(平成元)年、山陰線の複線・電化のために新たに線路が作られ、現嵯峨嵐山駅⇔馬堀駅間は廃線となってしまうのです。
(写真:1987年旧山陰本線を走る列車)


ところが、この路線は通勤通学だけでなく、保津川の景色が眺められる路線としても人々から愛されていました。そのため全国から廃線を惜しむ声が続々と寄せられ、1990年、観光目的とする鉄道会社として作られたのが「嵯峨野観光鉄道株式会社」なのです。
(写真:開業当初のトロッコ列車 ジオラマ京都JAPANに展示されているパネルより)

画像提供:嵯峨野観光鉄道

ですが廃線後、しばらく放置されていたレールは錆び、枕木は腐り、路肩には草が生い茂るありさま。しかも、このような路線に本当に乗客は来るのだろうか、「とりあえず3年もてばいいだろう」とまで言われていました。その言葉を受けて、社長を含めた全社員9名で沿線を整備。ちなみに亀岡駅手前の桜並木は、この時に植樹されたものなのだそうです。
コツコツと整備を重ねた苦労が実り、開業2日前の新聞には、「1年先までの予約客を入れると『既に四、五万人』(JR京都駅)という過熱ぶり」と書かれるほどの人気となり、その後、評判が評判を呼び、今のような人気観光列車となったのです。

トロッコ列車を降りても見どころたっぷり!


さて、トロッコ嵯峨駅に戻ってきまして、列車を降りたら駅の隣にある「19世紀ホール」へ行ってみましょう。
ホールに入ってびっくり!! 正面には大きな蒸気機関車が3台、その前にはベートーベンやモーツァルト、ショパンにドボルザークといった19世紀の巨匠が好んで使用した「ベーゼンドルファー」のグランドピアノが展示されています(ピアノにはハプスブルク家の紋章が記されていました!)。
こんなところでSLやベーゼンドルファーに出合えるとはビックリです。

画像提供:嵯峨野観光鉄道

19世紀ホール」は、このような19世紀、明治時代の日本に伝わった蒸気機関車や音楽芸術発展の一翼を担ったピアノや大型オルガンも併せて展示するホールで、しかも無料だというから驚きです。
ちなみにSLは「C56」「D51」「C58」、それから旧日本国有鉄道鷹取工場技術者養成所の生徒によって昭和149月に改造された蒸気機関車「若鷹号」が展示されています。


写真奥は楽器の「女王」と呼ばれるとして大型オルガンに最新の電子技術を融合させたアーレンオルガン「Quantum(クオンタム)」。手前は「ハープシコード」。こちらは有料での貸し出しもされていて、発表会などで利用する方もいるそうですよ。


ホール内にはカフェ「SL ROMAN CAFE」もあり、お腹がすいたので、こちらでランチを食べることにしました。こちらはSLをイメージした「ブラックハンバーガー」820円(写真左)。バンズには木炭が練り込まれています。それから1つずつ焼いた卵焼が入った「ミックスサンド」880円(写真右)。「コーヒー」500円はサイフォンで抽出した本格派です。しかもSLを眺めながらランチができるなんて最高~。


食後のデザートは、駅の正門横にある抹茶スイーツのスタンド「Maison matcha café」へ。
選んだのは抹茶ソフト、あずき、白玉が乗った「抹茶あずきアイス」640円と濃厚な「抹茶ソフトクリームラテ」650円。


食後は駅舎に戻り、鉄道模型テーマパーク「ジオラマ京都JAPAN」へ。ここはかなり面白かったので、改めてご報告します。お楽しみに!!
以前「ジオラマ京都JAPAN」を紹介した記事はこちら ↓ ↓ ↓

大注目の鉄道ミュージアム「ジオラマ京都JAPAN」を見に行こう!


ちろん駅の売店ではオリジナルグッズを買うこともできます。
写真は、トロッコ列車で使っているものと同じ「区名札(未使用)」2000円、「キーホルダー」450円、子供用しかないのが残念な「トロッコTシャツ」950円。大人用があったら、絶対買います!「パズルマップ」1400円。

嵯峨野トロッコ列車の旅、いかがでしたでしょうか。列車に乗って景色を堪能し、その後はSLを観たり、ジオラマを楽しんだり、ランチやスイーツを堪能し、お買い物までできちゃう。まさに1日遊べるエンターテイメントな空間でした。みなさまもぜひ、今度のお休みに遊びに行ってみてくださいね!

INFORMATION
嵯峨野トロッコ列車(嵯峨野観光鉄道)
京都府京都市右京区嵯峨天竜寺車道町
TEL 075861-7444
料金(片道) 880円、小人440円(6才以上12才未満)
運行スケジュールはこちら https://www.sagano-kanko.co.jp/unkou.php
チケット購入方法についてはこちら https://www.sagano-kanko.co.jp/josyaken.php

SL ROMAN CAFÉ
営業 11001500
休  嵯峨野観光鉄道 トロッコ列車運行予定日に準ずる 

Maison matcha café
営業 11001500
休  嵯峨野観光鉄道 トロッコ列車運行予定日に準ずる

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