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【京都歴史探訪】紫式部ゆかりの地を訪ねて

2023.03.04

2024年に放送予定の紫式部を題材としたNHK大河ドラマ「光る君へ」。情報が公開されるにつれて、注目も集まりつつありますね。KYOTO SIDEでは今回、紫式部にゆかりのある京都府のスポットをご紹介していきます。歴史好きな方や大河ドラマの予習をしたい方、または紫式部に興味がある方など、ぜひ読んでみてくださいね!

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まずはおさらい!紫式部ってどんな人?

宇治橋の西詰にある紫式部像(宇治市)

日本の古典文学の中で世界的にも知られている『源氏物語』。絶世の美男子・光源氏の恋愛や貴族社会の政治の有り様などを描いた全54帖の物語は、世界最古の長編物語といわれています。
この作者である紫式部の正確な名前や生没年については記録に残っていませんが、幼い頃より漢詩や和歌に優れていたといわれています。
998(長徳4)年には又従兄妹(またいとこ)の藤原宣孝と結婚し、娘の賢子(大弐三位[だいにのさんみ])を出産。しかし、1001(長保3)年には宣孝が流行の疫病にかかり死別しています。その後、源氏物語の執筆が始められました。

細々と書いていた物語ですがその評判は広がり、時の権力者であった藤原道長の耳にも届くこととなります。道長に才能を見込まれた紫式部は、一条天皇の中宮であった藤原彰子(道長の娘)の女房兼、家庭教師として宮中に出仕することになりました。彰子に仕えながら源氏物語を執筆していた紫式部に、道長は当時貴重だった墨や紙を贈り執筆を支援したといわれています。

紫式部の晩年の暮らしについて明確にはわかっておりませんが、一説には京都市北区紫野にある雲林院で過ごしたといわれています。

源氏物語を執筆した紫式部邸宅址

【京都市上京区】廬山寺

京都御所の東側にある寺町通に面した「盧山寺(ろざんじ)」は、平安中期にあたる938(天慶元)年に元三大師(がんざんだいし)によって船岡山の南に創建されたのが始まりとされる、天台圓淨宗の本山です。室町時代に応仁の乱などで幾度も焼失するも再興されてきましたが、573(天正元)年の豊臣秀吉公による都市改造にともない現在地に移転することになりました。

この地は紫式部の曾祖父である藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)の邸宅があった場所で、紫式部はここで夫・藤原宣孝と結婚生活を送り、源氏物語を執筆したといわれています。人生の大半をこの邸宅で過ごしたそうです。
室町初期に作成された四辻義成(よつつじよしなり/学者)の『河海抄(かかいしょう = 源氏物語の注釈書)』には、紫式部邸の位置が「正親町以南、京極西頬、今東北院向也」とあることから、この地が邸宅址と推定され、昭和40年に角田文衛博士によって紫式部の邸宅址であると考証発表されました。

廬山寺の本殿入り口には小倉百人一首にも収録されている紫式部と娘の大弐三位の歌碑があります。
「めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に 雲がくれにし夜半の月影 紫式部」と刻まれているこの歌は、「思いがけず出合って、その形を見たのかどうか分からぬうちに、雲の中に隠れてしまった夜中の月のように、久し振りにお目にかかり、お姿をみたかどうか分からぬうちにもうあなたはお帰りになられましたのね」という意味で、紫式部が幼友達に贈った歌といわれています。

源氏物語の世界をイメージして作られた「源氏庭」は白砂と苔の調和が美しく、四季折々の風景と相まって趣があります。なかでも6月~9月にかけて約2000本の桔梗が咲く庭園の様子は、源氏物語の世界へ誘ってくれそうな風情が感じられます。

廬山寺では紫式部の御朱印もいただけます。『源氏物語』ファンの方にはぜひ、一度は訪れてみてほしいお寺です。
 
■■INFORMATION■■
廬山寺
住所:京都市上京区寺町通り広小路上る北之辺町397
電話:075-231-0355
時間:9:00~16:00
拝観料:500円
HP:http://www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/index.html

紫式部が晩年を過ごした地

【京都市北区】雲林院

京都市北区紫野にある大徳寺の境外塔頭「雲林院(うんりんいん)」。もとは平安初期に淳和天皇の離宮「紫野院」として建てられ、869(貞観11)年には六歌仙の一人として知られる僧正遍照を招いて天台宗「雲林院」と呼ばれるようになりました。当時の雲林院は極楽往生を求めて法華経を講説する菩提講が有名で、平安後期に成立した歴史物語の『大鏡』には、この菩提講で落ち合った老人の昔語りとして展開されています。
鎌倉時代に入ると徐々に衰退し、鎌倉後期の1315(正和4)年には雲林院の敷地を大燈国師が譲り受け大徳寺を創建。同時に雲林院も復興し大徳寺の塔頭となりました。その後、応仁の乱で廃絶しますが、江戸時代に大徳寺発祥の場である雲林院が見直され、再建されました。

そんな深い歴史を持つ雲林院は、紫式部が晩年を過ごした地といわれています。源氏物語の「賢木(さかき)」の巻には光源氏が恋い慕っていた藤壺に拒まれて出家しようと、この雲林院に籠もるという話が書かれており、古くから多くの文学の舞台になるほど有名な地でもありました。2000年に行われた雲林院跡東域の発掘では、平安時代の園池や建物跡、井戸跡などが発見されています。
 
■■INFORMATION■■
雲林院
住所:京都市北区紫野雲林院町23
電話:075-431-1561
時間:7:00~16:00
拝観料:なし

紫式部が眠る墓所

【京都市北区】紫式部墓所

雲林院から東に360mほど行った堀川通の西側には「紫式部墓所」があり、紫式部と小野篁(おののたかむら)のお墓が隣接して建てられています。このお墓については『河海抄』にも記載があることから、ここが紫式部のお墓であることが古くから言い伝えられていることが伺えます。

小野篁は、遣隋使としても知られる小野妹子の子孫にあたり、嵯峨天皇につかえた平安初期の官僚です。昼間は宮廷に役人として仕えながら、夜は六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)の井戸を通り、閻魔大王のもとで裁判の補佐をしていたという不思議な伝説が残っています。

なぜこの二人のお墓が並んでいるのかは不明ですが、平安後期に成立した歴史物語の『今鏡』には「紫式部が『源氏物語』という色恋の作り話で人心を惑わしたため地獄に堕とされた」という記述があり、そのことから小野篁が閻魔大王と紫式部の間をとりなし、地獄から救ったという話があるそうですよ。
 
■■INFORMATION■■
紫式部墓所
住所:京都市北区紫野西御所田町

紫式部の産湯に使われた井戸

【京都市北区】真珠庵

大徳寺の塔頭寺院「真珠庵(しんじゅあん)」は、“一休さん”で知られる一休宗純和尚を開祖として室町時代に開かれた寺院です。

平安時代、雲林院の境内の一部であったこの場所には、紫式部の産湯に使われたといわれる井戸が現在も残されています。真珠庵は特別公開時を除き通常は非公開ですが、一休宗純和尚を参拝希望の方はお電話で問合せしてみてください。お寺さんとのタイミングが合えば参拝できる場合もあります。
 
■■INFORMATION■■
真珠庵 ※通常非公開
住所:京都市北区紫野大徳寺町52 真珠庵
電話:075-492-4991
時間:9:00~16:00

光源氏の子や孫の物語が展開する「宇治十帖」

【宇治市】宇治十帖モニュメント

全54帖のうち前半は、光源氏を主人公にした華やかな宮廷での恋愛模様が描かれている源氏物語。最後の十帖は光源氏の子とされる薫君(かおるきみ)と孫の匂宮(におうのみや)の二人の男性と、大君(おおいきみ)、中君(なかのきみ)、浮舟(うきふね)の三人の姫君の物語が展開します。この最後の十帖の主な舞台が宇治であることから「宇治十帖」と呼ばれています。

宇治神社の前にある朝霧橋のたもとには、源氏物語「宇治十帖」の古跡全体を象徴するモニュメントが設置されています。このモニュメントはヒロインの浮舟(うきふね)と匂宮(におうのみや)が小舟で宇治川に漕ぎ出す有名な情景がモチーフになっており、撮影スポットとしてもおすすめですよ。
 
■■INFORMATION■■
宇治十帖モニュメント
住所:宇治市宇治山田68-1

源氏物語 終焉の舞台

【宇治市】夢浮橋之古跡

宇治橋西詰の夢浮橋広場には紫式部モニュメントの前方に「夢浮橋之古跡」があります。
 
■■INFORMATION■■
夢浮橋之古跡
住所:宇治市宇治蓮華5-2

源氏物語の世界を体感!

【宇治市】宇治市源氏物語ミュージアム

宇治市にある「宇治市源氏物語ミュージアム」は紫式部を語るうえで外せない、『源氏物語』に関する文献や史料、小説などのライブラリー機能をもち、図書室では4500冊以上の蔵書が閲覧できます。

展示ゾーンでは光源氏の邸宅である六条院の模型や実物大の牛車、調度品の複製などがわかりやすく紹介されています。また、体験型展示コーナーではあかりの効果を使って“垣間見”体験や、香りの違いを当てる“源氏香”体験など、平安貴族の華やかな世界観を体感することができます。
 
■■INFORMATION■■
宇治市源氏物語ミュージアム
住所:宇治市宇治東内45-26
電話:0774-39-9300
時間:9:00~17:00(16:30受付終了)
入館料:大人600円/小人300円
休み:月曜休館(祝日の場合はその翌日休館)、年末年始
HP:https://www.city.uji.kyoto.jp/soshiki/33/
※現在改修工事中のため2023年3月13日(予定)まで臨時休館

源氏物語ミュージアムについては、こちらの記事で詳しく紹介しています▼


 

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