TOP ローカル 京都 造形作家が作るリアルなフィギュアでいっぱい!「かたつむりミュージアム」に潜入

造形作家が作るリアルなフィギュアでいっぱい!「かたつむりミュージアム」に潜入

2021.11.01

雨が降ると現れる「カタツムリ」。ゆっくりと進むその姿はかわいらしくもありますが、伸び縮みする体や大きな殻を背負った姿は、よく見ると不思議がいっぱい!
今回は、京都府木津川市にある「かたつむりミュージアム ラセン館」で、本物のようなリアルフィギュアをはじめ、カタツムリの不思議について取材しました。身近にいながらも知らないことがたくさんあるカタツムリワールドに夢中になってしまうかも!?

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カタツムリの博物館「かたつむりミュージアム ラセン館」へ

古民家を埋め尽くすカタツムリの数々

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木津川市にある「かたつむりミュージアム ラセン館」。こちらでは国内外のあらゆるカタツムリを展示しています。
しかも、展示しているカタツムリはただの標本ではなく、殻の部分は本物を使い、軟体部分は館長自ら手作りした“リアルフィギュア”なのです。
一体どんなカタツムリが見られるのか……。早速、中を見てみましょう!

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お邪魔しまーす、と中へ入ると、日本地図にカタツムリがたくさん!こちらは地域名を冠したカタツムリたちです。すでに、こんなにも種類がいることにびっくりです。京都の地名はありませんでしたが、近いのは兵庫の「ハリママイマイ」や三重の「イセノナミマイマイ」でした。

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さぁ、どんどん中へ。遠目からでも、カタツムリしかいない&かなり大量に展示されていることが分かりますね。

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この建物は、河野さんご夫妻が自身のアトリエのために買った、築約100年の古民家でした。それをご夫妻含め、ご友人たちがリフォームしてカタツムリの博物館に。カタツムリの展示に使われている家具類もレトロなアンティークばかりで、つい見入ってしまいます。
さてさて、実は写真中央の黒く大きな棚の中が必見なのです!

約500種以上のカタツムリのリアルフィギュアがぎっしり!

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じゃーーん!! この引き出しの中にはカタツムリのリアルフィギュアがたくさん収納されています。すでに壁にも展示されていましたが、まだまだこの中にもいらっしゃったとは……。日本国内にはカタツムリが約800種いるのですが、ここにはそのうちの約500種がいるのだとか!

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そしてこちらが河野館長お手製の「カタツムリのリアルフィギュア」です。
殻は本物を使って、軟体部分はシリコン素材を使って作っています。カタツムリの軟体部分はツブツブがたくさんあるのですが、それも忠実に再現されていて、本物と見間違えるほどにリアルです。
「なぜ標本ではなく、リアルフィギュアに?」と思いますが、実は、カタツムリの軟体部分は刺激を与えると縮んでしまうので、生きたままの姿で標本にするのは難しいのです。なので、標本にできないなら自分で作ってみよう、とリアルフィギュアの制作を始めたのだそう。

多種多様なカタツムリたち

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では、カタツムリのリアルフィギュアをたくさん見ていきましょう。
こちらは「ヒメマイマイ」。各個体の札には、河野館長が採集した場所と年が記されています。
そう、ここにいるカタツムリたちは、ほとんどが河野館長自ら現地に赴き、採集しています。

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こちらは大人になっても2~3mmしかないカタツムリたち。微少貝と言うのだそう。こんなに小さいと探すだけで一苦労ですね。

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こちらは京都や福井など、各地域で採集された「ヤマタカマイマイ」です。カタツムリは移動が遅く、また遠くまで移動することができないので、生まれ育った土地で成長し、子孫を残します。なので、同じ種でも地域が違うとこんな違いが見られるのですね。

生涯を共にするカタツムリの殻の役割

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カタツムリって、ナメクジの上に殻が乗っているものと思っている方も多いのでは?実は、殻の中にも胴体があり、種類によっては色がついているものも。殻にはさまざまな模様がありますが、中には殻が薄くて半透明な種類も。そんな仲間は、殻の中の軟体部分の模様が透けて見えるので、あたかも殻に模様があるように見えるのです。
写真のように、緑の殻を背負ったカタツムリも、胴体がなくなってしまうと殻は真っ白!

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こちらは胴体部分を液体に漬けて保存したもの。殻と同じ形をしていますね。
また、カタツムリは、卵から生まれた時から殻をもっていて、殻と一緒に成長します。なので、殻も体の一部なんですよ。

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こちらは「オオギセル」の成長を表したもの。左から乳児、幼児、前思春期と人間の成長に例えて紹介されています(笑)。こうしてみると、殻も一緒に成長しているのが分かりますね。そして最後は後期高齢者になり、殻もカサついています。

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また、殻が割れてしまうこともありますが、体の一部なのである程度の損傷は炭酸カルシウムの分泌液で修復できちゃいます。カタツムリってすごい!

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こちらはカタツムリの殻の中を表した模型です。殻の中の部分に内臓が詰まっていて、管で外の胴体部分とつながっています。模型で見ていても「なぜそうなる!?」という不思議な構造でした。ぜひ直接見てくださいね♪

まだまだカタツムリの不思議はいっぱい!

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こちらは、左側が“殻の模様が違うけど、全部同じ”「ナミマイマイ」です。
右側が“全部同じに見えるけど、全部違う種類”のマイマイ。ぶっちゃけてしまうと、全部同じに見えますが、これらは軟体部分に模様の違いがあったり、住んでいる地域が違ったりと、しっかり区別されています。また、最近ではDNA鑑定によって、さらに正確に種の違いが分かるようになったのだそう。

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この技術の進歩によって、同じと思われていた種が実は違っていた、またはその逆で、違うと思っていたものが同じだった、なんてことが起こっているのだとか。カタツムリ界ではまだまだ分からないことがたくさんあるのですね。

海外のマイマイにも注目!

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「中南米のキューバのカタツムリもありますよ」

と見せていただいたのがこちら!黄色やオレンジなど、まぶしいほどの原色カラーが、さすが亜熱帯の国!取材陣も思わず歓声を上げてしまいました。
日本に住むカタツムリは、河野館長自ら採集し、フィギュアにしていますが、海外だとなかなか難しいのだそう。ということで、友人・知人を介して海外のカタツムリの殻を集め、こちらもまたリアルフィギュアを制作されています。日本のものより数は少ないですが、個性的なカタツムリがたくさん見られますよ。

生きたカタツムリを探してみよう!

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カタツムリのリアルフィギュアをたくさん見てきましたが、ラセン館には本物のカタツムリもいます。
裏庭スペースには落ち葉や石、木が設置されていて、この中にカタツムリが生息しています。ここに住んでいるのは地元のカタツムリたち。万が一ミュージアムから出て行ってしまっても大丈夫なように配慮されています。

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さぁ!カタツムリを探してみよう!と用意されている熊手で落ち葉を探ってみますが、なかなか見つかりません。
「けっこうその辺にいますけどね」
と河野館長が素手で落ち葉を掻きまわすと、すぐに見つかりました。

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こちらはアズキガイ。小豆のような色が特徴です。そしてサイズも小豆ほどしかありません。言われなかったら小石と間違えてしまいそう……。

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石の裏には少し大きめのカタツムリ。

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「ああ、あそこにも」と上を見ると2mほどの高さの木にも発見!この種は木に登るのが好きなのだそう。ずっと落ち葉の中を探していたので、頭上は盲点でした。
宝探しのようにカタツムリを探していると、童心に帰ったような気持ちになって、夢中になってしまいました。裏庭には写真付きでカタツムリの名前が書かれているので、ぜひ照らし合わせながら探してみてください♪

カタツムリ愛とその思い

大人のためのミュージアム

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実はカタツムリミュージアムは、小学生以下の入館は不可となっています。それは、展示するカタツムリたちをしっかりと見てほしいから。ひとつひとつのカタツムリを河野館長が集め、丹精込めてフィギュアにしているからこそ、年齢制限が設けられています。
とはいえ、出張授業も請け負っており、依頼があれば小学校に出向き、子どもたちにカタツムリの授業を行っています。カタツムリのリアルフィギュアは小学生にとっても興味を引かれるようで、授業では真剣にお話を聞いてくれるのだそう。大人と子ども、それぞれに合った鑑賞ができるのはうれしいですね。

カタツムリは“趣味”です

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それにしても、なぜこんなにもカタツムリに傾倒しているのか……。

館長の河野さんの本業は造形作家で、今でもご自身の作品を制作されています。その傍らで、カタツムリを採集し、フィギュアを制作しているのだそう。カタツムリはあくまでも趣味なのだとか。

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もともと昆虫採集が好きで、ミュージアムの一角にも昆虫の標本(+α)を展示しているほど。ある時、世間が昆虫ブームになり、昆虫の乱獲にモヤモヤしていた時にカタツムリと出合い、そこからのめり込んでいったのだそう。
それから15年。カタツムリに注いだ愛情は「カタツムリミュージアム ラセン館」を造ってしまうほどでした。

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ちなみに2階には河野館長が集めた世界各地のカタツムリモチーフの工芸品や美術品が展示されています。カタツムリは地球上のいたるところにいると思うと、世界共通のコンテンツなのかもしれませんね。

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カタツムリミュージアムができたのは約3年前で、先述したように、当初は河野さんの本業のアトリエ用でした。奥様と一緒に各地を見てまわる中で、ほどよい自然があるこの木津川の場所がしっくりきたのだそう。

まだまだ止まらないカタツムリ熱

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今後の目標を伺うと、「海外のカタツムリをもっと集めたい」とのことでした。もう間もなく、中国やルーマニアのカタツムリ(の殻)が来る予定なのだそう。
また、よりミュージアムとして楽しめるように、顕微鏡で小さなカタツムリを見られるようにも準備中。「体力的にもしんどいんだけどね」と話す河野館長はとっても楽しそうにされていました。
これから先、カタツムリミュージアムがどんな進化を遂げるのか、期待が高まります!

■■INFORMATION■■
かたつむりミュージアム ラセン館
住所:木津川市加茂町観音寺垣添6-1
電話:0774-76-4988
時間:10:00~17:00(入場は16:00まで)
料金:500円(入館は中学生以上から)
休み:不定休
※急な不在の場合があるので、来館の際は事前にご連絡ください。
https://rasenkan.com/

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