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もうひとつの京都観光名所「伊根の舟屋」とは?

2021.02.16

京都府の北部、丹後半島に位置する伊根町は舟屋で有名です。伊根湾に沿って230軒もの舟屋が立ち並び、その美しい町並みは国の「伝統的建造物群保存地区」に選定されています。「伊根の舟屋」とは、どのようなところなのか、ご案内します。

伊根の舟屋とは

f:id:kyotoside_writer:20210211214442j:plain舟屋とは舟のガレージのこと。ですから実は舟屋は全国にあるのですが、「伊根の舟屋」は1階がガレージ、2階が住居スペースになっている独特の造りになっているのが特徴です。海岸ギリギリに立っているので舟にのって海側から見ると、まるで海の上に家が浮かんでいるように見えます。

「伊根の舟屋」があるのは

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【Google map】

「伊根の舟屋」がある伊根町は丹後半島の先端東側、若狭湾のさらに内側に位置しています。舟屋があるのは、その伊根町の一角、全長約5㎞の伊根湾の海岸に沿って舟屋が立ち並んでいます。

 

f:id:kyotoside_writer:20210211214509j:plain伊根湾は湾の入口にある青島が防波堤の役割を果たしているので風の影響を受けにくく、しかも日本海にありながら湾が南を向いているので海がとても穏やか。通りを歩いていると時折、舟屋の奥から波音が聞こえ、ゆったりとした時が流れる静かで美しい海辺の町です。 

舟屋の数は230軒!こんなにも舟屋が残っているのは伊根だけ!

f:id:kyotoside_writer:20210211214523j:plain「伊根の舟屋」がいつ誕生したのか、正確には分かっていませんが、戦国時代にはすでにあったと言われています。江戸時代初期の絵図には湾に沿って家が立ち並ぶ様子が描かれており、しかも舟屋の数は今と同じ230軒! 江戸時代と今の戸数が同じだなんてびっくり! そして全国に舟屋は数あれど、こんなにも舟屋が残っているのは、ここ伊根だけなんですよ。

f:id:kyotoside_writer:20210211214542j:plainなぜこんなにも伊根に舟屋があるのか。それは伊根では昔から一家に一艘(いっそう)、舟を持っていたからなのです。伊根は海からすぐ崖(山)になって平地が非常に少ないので、どこかに行くには山を越えなくてはいけません。例えば山を登って宮津や舞鶴に行くより舟で行った方が早いので、日常の交通手段としても大切だったのです。それって今の地方における自家用車を持つ感覚と似ているかも⁉ だから、これだけ舟屋があるのですね。

「伊根の舟屋」は、はじめから2階建てではなかった!?

f:id:kyotoside_writer:20210211214554j:plainところで「伊根の舟屋」は初めから2階建てで1階がガレージ、2階が住居スペースだったわけではないんですって!
昔の舟は木造で漁に使う縄は麻。ゆえに海につけておくと木も麻も腐ってしまいます。そこで舟が一艘、入るぐらいの藁葺の小屋を建てたのが始まりでした。

 

f:id:kyotoside_writer:20210211214607j:plainやがて板を渡しただけの2階部分で網を干したり、漁具を置いたりするようになるのですが、それでも今のような立派な部屋を持つ2階建ての舟屋になったのは昭和初期からなのです。

海を4m埋め立てたってどういうこと⁉

f:id:kyotoside_writer:20210211214616j:plain伊根の建物の多くは海側から舟屋⇒蔵⇒主屋と並んで立っています。そして蔵と主屋の間にバスが通れるほどの道幅の道路が走っていますが、この道ができたのは1931(昭和6)年~1939(昭和14)年。それまでは人が傘を差してすれ違えるぐらいの細い路地が通っているだけでした。

 

f:id:kyotoside_writer:20210211214626j:plainこの新しい道を作ることになった時、平地が少ないため、海を4m埋め立て、舟屋や蔵を海側に移動し、道を作ったのです。そして舟屋を新築する際、瓦葺きの2階建てとし、2階は床間などを設えた立派な客間にする家が多くなり、今のような形になっていったのだとか。

 

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舟屋の1階部分

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舟屋の2階。こちらは客間ではなく、雪が多い時期などに下宿として貸し出していたのだだとか

また客間の他に子供夫婦の部屋、隠居場としても使われたようですよ。現在、舟屋はおしゃれな宿やカフェとして利用するところが増えてきました。もっと舟屋ことを知りたい! という方は「幸洋丸」さんの舟屋へ。内部が公開されていて昔、使われていた漁具に加え、写真・地図なども展示されていますよ。(※見学情報は最後のinfomationを見てくださいね)

伊根湾は北前船の風待ち港

f:id:kyotoside_writer:20210211214807j:plainところで江戸時代から明治30年ごろにかけて伊根は漁港としてだけでなく、北前船(江戸時代中期~明治時代末期まで大阪と北海道まで各港を寄港しながら日本海経由で商品を売り買いしながら航海していた商船)の風待ちの港としても使われた大事な港でした。

 

f:id:kyotoside_writer:20210211214821j:plainというのも隣の宮津港が北前船の大きな寄港地であり、次の兵庫の寄港地へ行く際、伊根湾の先にある難所、経ヶ岬を超えるべく、風待ち(航行に良い風がくるのを待つ)をするために伊根湾に停泊したそうで、最も多い時には5000船もの船が停泊したのだそうです。

f:id:kyotoside_writer:20210211214831j:plainですから集落で行われる伊根祭で有名な八坂神社には、大阪の船主が寄進した灯篭があり、伊根湾が航海にとっていかに需要な港であったかわかります。

伊根湾にはクジラもやってきた!

f:id:kyotoside_writer:20210211214842j:plainさらに伊根湾には時より鯨(くじら)が迷い込んでくるため、漁も行われていました。資料によると1656(明暦2)年から1913(大正2)年までの257年間に355頭も捕れたのだとか。写真は大正時代の漁の様子。

f:id:kyotoside_writer:20210211214855j:plainこの絵図のように耳鼻(にび)集落の湾に追い込んで漁をしていたのですって。

最後に

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その他、伊根の漁師さんの家では伝統的に食べられるお正月料理もあるそうですよ。併せて、ぜひ読んでみてくださいね。

 

また、海から舟屋を見たい方には海上タクシーや伊根湾めぐり遊覧船がおすすめ! 

 海上タクシー(小型遊覧船)

地元の船頭さん達が自分の船でガイドをしながら伊根湾内を周遊してくれます。

伊根湾めぐり遊覧船(大型遊覧船)
約25分周遊の遊覧船からは、カモメにエサをあげることもできますよ。

 

f:id:kyotoside_writer:20210211214926j:plain現在も伊根町の舟屋は漁師の生活の場であり個人の建物。訪れる時は町におじゃまする気持ちで、散策を楽しんでくださいね。

 

■■information■■
伊根町観光案内所
 
京都府与謝郡伊根町字平田491
TEL 0772-32-0277
営 AM9:00~PM5:00

 

幸洋丸
京都府伊根町字平田555
TEL 0772-32-0620
営 11:00~16:00、土・日、祝日10:00~17:00
水曜日休み
料金 200円(中学生以上) 小学生100円 小学生未満無料

 

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