「○○しなさい!」と迫っても逆効果。挨拶しない子にしたい3つの対応
相手がにこやかに「こんにちは!」と声をかけてくれたのに、無言でうつむくわが子。
「ほら、挨拶は?」とママに促されると、ますます固まり口をぎゅっと結んだまま。
相手に申し訳なく思ったり、「ああ、しつけができてないと思われちゃう」とイライラすることもあるかもしれません。
「この子は何で挨拶ができないの?」そうやきもきしてしまう子について、『敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本』の著者、長岡真意子さんにお話しいただきます。
挨拶できないことを本人は気にしているもの
挨拶できない子には、なるべくあせらず少し時間をかけてあげたいです。
挨拶できないことを気にしているのは、誰よりもその子本人である場合が多いもの。
そこへ、「何であなたは挨拶ぐらいできないの!」と迫り、相手にも「すみません。この子挨拶もできなくて」と謝るなら、その子がスムーズに言葉を発することが、ますます難しくなってしまうかもしれません。
挨拶ができない子に必要なのは、非難よりも、「できるよ」という励ましと具体的なサポートです。
挨拶できない子は感受性が人一倍強いことも
感受性が人一倍強い子というのは、まるで拡大鏡を手に周りの物事に向き合っているような子です。
大多数の人々が気に留めないような些細なことも、何倍にも拡大して強烈に感じるところがあります。
よく知らない人にさっと挨拶できないのも、相手の表情、匂い、声、雰囲気などの一つ一つを細やかに感じとり、よく見知った人との違和感に圧倒されているからかもしれません。
例えば大人でも、よく知らない相手に強烈な違和感を感じるならば、挨拶などすっと出てこないもの。まずはよく観察して安心したいと思うのではないでしょうか。
人一倍感受性の強い子は、そうして周りの物事を強烈に感じるために、反応がぎこちなく見えることがあると覚えておいてあげたいです。
挨拶できない子へしてあげたい3つの対応
(1)挨拶することに少しずつ慣れさせてあげる
「ママと一緒に言おうね」とひとまず一緒に挨拶するのも方法です。
ママが挨拶する隣で安心し、少しずつ慣れていきます。
また、声を出すのが難しいようならば、「ママが挨拶するときは相手の目を見ようね」とまずはアイコンタクトから始めるのも方法です。
また、ママが挨拶する横でおじぎを促すのもいいでしょう。
声を出すより、まずは動作からの方が取り組みやすいことも多いです。
(2)少しでも実行できたら認め喜ぶ
小さな声でもママと一緒に言えたり、アイコンタクトやおじぎができたら、「挨拶できて嬉しいね、相手も嬉しそうだったね」と喜んであげましょう。
「“こんにちは”の“こん”しか聞こえなかった」「一瞬しかアイコンコンタクトできなかった」と“できなかった”ことを指摘するより、「声に出して挨拶できたね」「相手の目を見られたね」と“できたこと”をこまめに認めてあげます。
できることから挨拶に慣れ励まされるうちに、少しずつ前進していきます。
(3)ごっこ遊びで挨拶に慣れる
普段ごっこ遊びやパペットなどを用い、様々な相手に「おはよう!」「こんにちは!」と言い合うようにしてみるのも方法です。
遊びを通して様々な設定で挨拶することに慣れておくと、より口にしやすくなります。
最後に、「せっかく挨拶してくださったのに申し訳ない」と思う相手には、「挨拶練習中なんです。ありがとうございます」と伝えるのはどうでしょうか。
筆者の子の中にも、幼児時代見知らぬ人には一切口をきかなかった子がいます。今では人前でも、はっきりと必要なことを伝えられる高校生に育っています。
その子のペースで踏み出していけるよう、サポートしてあげたいですね。
【参考・画像】
※ 長岡真意子(2019)『敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本』- 秀和システム
※ MH-Lee / Shutterstock